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2012年02月21日

冬山「里山祭」山笑い見学

2012年2月18日・19日、白山市木滑で行われた冬山「里山祭」山笑い を見学してきましたので、いきものマイスター養成講座スタッフ,野村が報告します。

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木滑プロジェクト

木滑集落は金沢市の中心部から車で約1時間、白山の麓の山間部に囲まれた20軒ほどの小さな集落です。の木滑の魅力を伝える為の「木滑里山保全プロジェクト」が催す「山笑い」は2011年度冬から始まり、夏や秋に実施したものを含めると今回で5回目となります。尚、夏山「里山祭」山笑い(2011年8月27日・28日)の初日には、講義としていきものマイスターで訪問しています。

私達が訪問したのは山笑い前日の2月18日(土)です。この日は地元民、ボランティアなどを含めた約30名が準備に大忙しの様子です。会場の一部である木滑神社の周りには、雪遊びが出来るように、かまくらなどが作られていました。私達もかまくら作りをお手伝いしました。

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今回の山笑いでは「里山ホームステイ」という企画により、希望者5組が木滑の民家にお泊りをします。受付終了予定の17時までにホームステイ参加者が集まりました。この後、地元の研修・交流施設「白山里」の日帰り温泉に浸かった後、各滞在家庭を訪問です。
気さくな地元の方の人柄に触れながら家庭料理を頂くホームステイは最高でした。今度はお土産を持ってお礼に伺いたいと思います。

19日当日は、雪も収まり晴天に恵まれました。この日に行われた企画は、かんじきで雪山を歩く「里山ウォーク」、地元のおじいちゃん達からわら細工や手遊びを習う「里山の手あそび」、里山のご馳走が並ぶ「木滑神社市」、ほんこさん(報恩講)など大事な集まりで使う為の貴重な御膳で頂く「冬の里山料理店」などです。

「かんじきウォーク」では、かんじきを履いて冬の雪山歩きを体験します。案内して下さるのは地元の猟師の方です。生き物の足跡を見つけては、それがニホンザルやウサギの足跡であると解説してくれました。木滑には他に、カモシカ、テン、キツネ、リス、キジ、ツキノワグマ、イノシシなどがいるそうです。更には遠方にニホンザルの群れを見つけて、参加者らに双眼鏡で群れを見せてくれました。かんじきウォークは午前と午後の2回が行われましたが、両方に参加した元気な児童もいたようです。

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案内してくれた猟師の方は、里山の食べ物が豊富な年のイノシシやクマは脂肪が多くて肉も美味しいといいます。また、自分達が子供の頃にはまだイノシシがいなかったことを話してくれました。里山の変化に一番敏感なのは、こうした山の生活をしている人達です。冬山に入る生活が失われつつある今日でも、この木滑では冬山の生活が今も根付いていることが実感出来る催しでした。

「木滑神社市」は、里山の美味しいもので一杯です。焼きおにぎり、山菜おこわ、大根の漬物や山菜のお惣菜、なめこ汁、甘酒など、目移りしてしまいそうなものばかりです。市では餅つき大会が行われ、訪問客に振舞われました。つきたてのお餅の味は格別です。更には、木滑の環境配慮型水田で作られたお米「山笑米」が売れていきます。

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「冬の里山料理店」では、ほんこさんで使用されてきた輪島塗りの御膳に載せて、里山の料理が振舞われました。尚、今回の為に用意された御膳と器は、昭和44年頃からずっと蔵にしまわれたままのものでした。かつての木滑では、地域の冠婚葬祭は各家庭で行われていましたが、今では専用の施設など外部で行うようになった為に、自宅で御膳を使う機会がなくなってしまったそうです。「冬の里山料理店」が、こうした地域の伝統と暮らしを見直すきっかけになればいいですね。

「里山の手あそび」ではわらじの1種「あしなか」などの編み方を、地元の達人から習います。参加者の1人は、地元のおじいちゃん・おばあちゃん達の技術に舌を巻いていました。地域の伝統技術をこのように地域内外の人に親しんで貰うことは、伝統技術の保存と伝達にも大切なことです。地域のおじいちゃん・おばあちゃん達も、自分達の技術や文化の大切さを実感出来たのではないでしょうか?

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雪遊びの会場では、子供達がそりで滑って、更にはかまくらに入って遊んでいます。大人まで、そりで楽しそうに滑っています。踏み固めた場所以外の雪は柔らかく、子供がすっぽり入ってしまえば危険です。スタッフは子供達を楽しませつつ、危険な場所に踏み込まないようにしっかりと見張っています。安全の確保も、イベントにとっては大切です。

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今回の「山笑い」では親子連れが多かった他、スタッフによればリピーターも多かったそうです。「山笑い」が回数を重ねることで確実に知名度を上げ、地域活性化の為の効果が現れ始めているのかもしれません。この「山笑い」をどうか長く続けることで地域の連帯感を強め、内外に木滑の自然と里山の暮らしの大切さを伝えると共に、地域の活性化成功に繋がることを、参加者の1人として願ってやみません。

投稿者 赤石大輔 : 2012年02月21日 16:36

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