2011年01月28日
里山の価値とは.
「県生物多様性戦略ビジョンは、「トキが羽ばたく石川の実現」を目標に掲げ、環境保全に取り組む人材の育成、里山里海を抱える世界各地との情報の共有、発信など七つの基本戦略を打ち出す。」
前回の記事でちょっと触れましたが,COP10以降も石川県は里山里海の保全活用に力を入れていく宣言がされました.石川県生物多様性7つの基本戦略について,コメントしたいと思っていたのですが,webで探してみたのですがなかなか出てきませんでした.
COP10の資料に,PDFファイルがありこの中に「里山の利用・保全を中心とした戦略」として,7つが上げられていましたので,このことだと思います.
7つの戦略
1.里山里海における新たな価値の創造
2.多様な人材の育成・ネットワークの推進
3.森・里・川・海の連環に配慮した生態系の保全
4.多様な主体の参画による新しい里山里海づくり
5.国際的な情報の共有と発信
6.積極的な種の保存と適切な野生生物の保護管理
7.生物多様性の恵みに対する県民理解の浸透
それぞれ大切な内容が含まれていますね.
石川県は,生物多様性戦略ビジョンをまだ発表していません.ですので,ビジョンに合わせて7つの戦略も多少変化があるかもしれませんね.
さて,7つの戦略を見てみると,生物多様性というよりも,里山里海の保全活用に関する戦略と読むことができます.つまり石川県では里山里海=生物多様性という位置づけをしているわけですね.生態系サービスという自然環境の機能を表すものとして,里山里海という言葉を使うのは日本では一利あることだと思います.生物多様性保全については6番目に強調されています.
「里山里海における新たな価値の創造」という大きな目標が掲げられています.新たな価値って何なんでしょうか.そもそも里山の価値とは?
ここで石川県の里山の定義を確認したいと思います.県庁のホームページに「里山ってどんなところ」という紹介ページがあります.
こちら → 里山ってどんなところ
里山は集落の近くにある山や田んぼなど自然景観を指し,そこに住む人々の生活のために利用されてきた資源調達場所です.現在は資源調達場所として使われなくなり,かつての価値がなくなった(低下した)わけです.
現在の里山の価値には何が残ったかというと,レクリエーションつまり娯楽のための機能だと言う方もいます.
自然環境に触れ楽しむことが私たちにとって価値あることだというのは判ります.里山はそれ以外の機能を持っていたいからこそ,レクリエーションとして楽しめる部分があるので,本来の機能はどうやって維持していくのでしょうか.レクリエーションで落ちるお金で里山の管理をしていくのでしょうか.私にはなかなか難しいように思えます.
里山本来の価値である資源調達場所として,新しい手段で資源を活用をしていこうという取り組みも始まっています.そして,生物多様性の保全という機能はまさに新しい価値といえると思います.
「生物多様性で飯が食えるか」という議論をしたこともありますが,「今はまだ食えない」という答えでした.食っていける仕組みは何か.生物多様性の価値はそこにあるのだと思います.
今回は結局,自分のメモ程度にしかなりませんでした,申し訳ありません.この「里山の新しい価値」が定まらないうちは,これを子供たちに見せても,過去の話としてしか伝らず,次世代に残りません.新しい価値を見つけ,それを育て,発信し活用していくことができるのだと思います.
これからも自分に問い続け,発信していきたいと思います.
投稿者 赤石大輔 : 2011年01月28日 15:43
この記事へのコメント
久しぶりにブログを拝見しました。
で、ご自身の仕事や研究に(ますます?)真剣に取り組まれているご様子で、とても嬉しく思いました。
石川にいた頃、仕事で里山に行くことも多く、最近はそれを懐かしく思い出します。
私も「里山の新しい価値」を考える仲間に入れてくださいね。
投稿者 ながしま : 2011年02月18日 00:09
ながしまさま
ありがとうございます.石川県は昨年から県をあげて里山里海を活用した地域振興策を掲げています.
この波に乗って里山里海の生物多様性保全の取り組みも進めていきたいと思います.今後ともどうぞよろしくお願いします.
投稿者 akaishi : 2011年02月22日 12:00