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2010年02月08日

シンポジウム「日本の里から世界の里へ」

2月6日

金沢駅近くの音楽堂で,「日本の里から世界の里へ」というシンポジウムがありました.前半は,朝日新聞などが主催した「日本の里100選」に選出された8村が事例紹介をしました.
日本列島は南北に広がっていることと,丘陵地が多いことから,さまざまな村の姿があり,それこそが日本の財産だというのもよくわかります.

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何にでも「トップ100」とかいう企画があります.村を100選んだらなにか良いことがあるのか?と思いましたが,選ばれた地域には,観光客が押し寄せるなどPRのメリットがあるようです.たしかに,お客さんをたくさん呼ぶためのPRと考えている,戦略的な地域は是非選ばれたいでしょう.そういう体力のある地域が100あるとすれば,日本の農山漁村の未来も明るいのですが,能登のとても美しい山里の多くが,本当に厳しい状況にあります.

後半のディスカッションの話題は日本の里から世界の里へ,というテーマ.
基調講演をされた奥本大三郎先生のお答えはとても分かりやすかったです.奥本先生はファーブル昆虫記の訳本を書かれたフランス文学の先生です.

「フランス人には里山は理解されない」

欧米諸国にはそもそも里山という概念はないし,気候風土が全く異なることから人々の考え方も違うのだということでした.里山の定義を理解,共感できるのはアジアの中だけではないか.SATOYAMAが世界共通の持続可能社会モデルだというのは大きな勘違いだということだと思います.

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また,あん・まくどなるどさんの言葉も良かったです.あんさんはカナダ人で,長く日本の漁村を回られて研究されてきた方です.

「日本人は日本がアジアの一部だということをもっと強く意識しなくてはいけない」

日本がアジアの一部というのは当たり前のように思っていましたが,日本人の多くは先進国の欧米に目が向いていることも確かです.

日本から何か提言があるとすれば,都市農村交流の成功例とその有効性,持続性,普遍性が明確にできてからようやく,アジア各国に向けてSATOYAMAいいでしょ?といえるのかなと思いました.

それには地道な地域での活動が重要で,その先行事例が日本の里100選なんだということで,良いシンポジウムだったのではないかと思います.

投稿者 赤石大輔 : 2010年02月08日 16:31

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