金沢大学里山里海自然学校 HOME » キノコ日記

キノコ日記Top » 保全活動

ソーシャルブックマークに登録:

2009年11月28日

保全活動

11月28日

保全林で保全活動を行いました.参加者は9名でした.
今回の作業は,整備の仕上げである地掻き作業です.この2年,子供から大人まで多くの方に参加していただき,雑木や枯れ木を伐採し,倒木や枝を搬出して,ようやく地掻き作業に移れました.

DSC_0042.jpg

積もりに積もった落ち葉,腐植層をレーキで掻き取り搬出する作業です.
腐植層にマツなど植物の根が入り込んで,林床は落ち葉のマットを敷いたようになっています.こうなるとレーキで掻きとろうにも,なかなか思うようには行きません.音をぶち打ちと切れるような,歯のついたレーキでもって,がりがりと掘り起こす感じで作業を進めています.想像を絶する重労働です.

20m×20mの面積を,9人で2時間フルに働いてようやく作業が完了しました.
1ヘクタールはこの25倍(100m×100m)です.
仮に作業を誰かに時給800円で委託すると考えると,
800円×2時間×9人×25倍= 36万円/ヘクタールとなります.
結構コストがかかりますね.しかし1ヘクタールあたり100万円分マツタケが毎年とれるとなれば,初期投資としては悪くないと思います.

しかし,せっかく投資してもマツタケが出ないということもしばしばあります.投資すれば,必ずマツタケが出るようになることを確立しなくてはなりません.金沢大学やNPOおらっちゃは県と協働でマツタケの研究に取り掛かっていますが,現状では,なかなか難しいとしか言えません.

さて,冬の時期の地掻きとあって,冬越しのために土の中に隠れていた生き物がちらほら確認できました.大きなモリアオガエルが,うずくまっているのを2回も見ましたし,カブトムシ?カナブン?の幼虫もいました.
松ぼっくりから発生するマツカサタケも見つけました.

DSC_0038.jpg

昨年は夏に地掻きをしましたが,クロサンショウウオが見つかりました.
地面をほじくり返すと面白い生き物に出会えます.
昨年地掻きをしたエリアでは,今年たくさんのアミタケが出ました.今年作業した場所は来年どんなキノコが出るでしょうか?とても楽しみです.

DSC_0046.jpg

投稿者 赤石大輔 : 2009年11月28日 19:11

この記事へのコメント

すばらしい取り組みですね!ええっと、質問が3点あります。

(1)これはマツ林…ですよね?
(2)雑木や枯れ木の除去は、定期的な作業ではない…と考えていいでしょうか?
(3)地掻き作業は、1年に1度の定期的な作業…と考えていいでしょうか?

あと、これは全くも思いつきですが、マツタケが出てこない…に対する「保険」のようなものがあるといいな、と思いました。

投稿者 林直樹 : 2009年11月30日 07:11

林様
赤石です.ご質問ありがとうございます.
A1:アカマツ林です.2年前には,雑木が生い茂り足を踏み入れることもできない状態でした.
A2.そのような雑木を伐採,搬出が終わり,ようやく地掻きという最終工程に入れました.今後この地点は,地掻きがメインの作業になります.
A3.雑木の除去も地掻きも労力があればいつでもできる作業です.上記のように,作業の順番があり,地掻きは最後になります.保全林ではまだ雑木の搬出も終わっていない部分があるので,そこでは来年度も搬出から行い,地掻きまでしたいと計画しています.

さらに地掻きをして出た腐葉土を畑などにつかう循環を構築できればいいと思っています.宮崎県ではタバコ農家がアカマツの腐葉土を使っているそうで,珠洲にもタバコ農家があるので可能性はあると思っています.

投稿者 akaishi : 2009年11月30日 08:38

林様
マツタケが出てない場合の保険ですが,自然学校が整備しているエリアは,マツタケは難しいと感じています.しかし,整備によってその他の,昔から食べているおいしいキノコ,換金性のあるキノコがたくさん出るようになりました.山菜,ランの仲間など植物も増えています.
四季を通じて保全林で観察会や散策が可能な,公共のエリアは能登でもここだけです.そういった価値を作り出しているということがひとつの保証になるのではないかと考えています.

投稿者 akaishi : 2009年11月30日 09:23

ご回答ありがとうございました!状況がよくわかりました。落ち葉を肥料に…は、すばらしいですね。

投稿者 林直樹 : 2009年12月02日 13:59