2009年10月06日
中学生と保全活動2
10月6日
三崎中学校の里山授業は3回目となり,生徒達とも多少はうち解けてきました.
今回は,保全林で枯れたアカマツの伐倒と計測を行いました.
はじめに,アカマツがなぜ枯れてしまったか.松枯れの原因について簡単に説明しました.松枯れは線虫(マツノザイセンチュウ)がマツの中で増殖し,導管をふさいでしまうためとされています.またそのセンチュウを運ぶのは枯れたマツを利用するカミキリムシ(マツノマダラカミキリ)で,両者(線虫とカミキリ)は移動手段と繁殖場所という共生関係にあるといわれています.
松枯れの詳細はこちら ー> マツ枯れの原因
珠洲でも以前たくさんマツが枯れてしまった時期があったそうです.近年は小康状態にあるといえますが,このようにまだ枯れたマツもよく見かけます.昨年度の生態学会では,「日本人に離別されたアカマツ林」というシンポジウムが開催され,私も発表させてもらいましたが,これからもアカマツを保全していきたいと考えるなら,松枯れや里山の管理放棄について真剣に取り組まなくてはいけないと思います.
さて今回は,生徒達には枯れたマツの調査をしてもらいました.調査項目は以下の通りです.
(1)樹高測定:目測でマツの高さを計測し当てる.
(2)直径測定:マツを両手でかかえてみてその直径を当てる.
(3)樹齢測定:伐倒したマツの年輪を数える.
まじめな調査というよりクイズといった感じですが,楽しく五感で体験する里山実習ですので,これでいいと思っています.ちなみに,直径測定はこんな感じで抱きついて当てます.
実際に測定してみると,この木の樹高は16m,直径42cm,樹齢は60齢ということでした.樹高などは小学生にやらせると「100m!,50m!」とものすごくずれた数値を上げてきますが,中学生になるとかなり近い数値を言い当てます.生徒達も結構楽しくやってくれたようです.今年は最後に彼らと里山についてのディスカッションをして終わろうと思っています.
この取り組みは,石川県の森林環境税によって作られる,森林環境基金のこども森の恵み推進事業によって支援されています.森林環境税って聞いたことあるけど,こんなところに使われていたのかと思っていただければと思います.
投稿者 赤石大輔 : 2009年10月06日 19:46