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2009年06月01日

佐渡視察

5月30日〜31日

佐渡にいって参りました.
航路はなんと,珠洲市の飯田港から佐渡の小木港!
力屋観光汽船さんの高速船「あかしあ」にのって2時間半の船旅です.
今回は,自然学校のメイト,NPOメンバー,里山マイスター関係者など,40名が参加しました.

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佐渡と能登はどちらも島で,能登が本州にくっついて半島になったと聞いています.双子のような存在の佐渡と能登,そのどちらもトキが最後まで住んでいた地であり,今もその復活を目指す地域になったことはとても面白いと思います.

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さて,佐渡での視察目的はやはりトキの再生に向けた先進的な地域活動です.
初日は,道の駅によって,トキをはぐくむお米の販売を視察しました.
佐渡市がトキをはぐくむ農業として認定しているお米,その名も,「朱鷺と暮らす郷」
袋の横には,
「朱鷺と暮らす郷米は,佐渡のめぐまれた環境のもと,生きものを育む自然にやさしい農法でトキと一緒にすこやかに育ったお米です.」
とあります.はたしてどのような農法でお米作りがされているのでしょうか.

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ということで翌日は,朱鷺と暮らす郷米を作っている田んぼに伺って見学をしました.この日は, NPO法人生物多様性農業支援センターによる,田んぼの生き物調査が開かれており,たくさんの農家さんが生物調査の講習を受講されていました.

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特別な農法で作られているというお米,その田んぼは,大きなほ場で,ポンプアップして水を回し,暗渠により排水も効率のよい,近代的な田んぼでした.能登にもこのような最新の田んぼはありますが,そのような田んぼでは生き物がとても少なくなっています.
しかし,佐渡の田んぼは一つだけ大きな違いがありました.それは田んぼの畦付近に,もう一つ畦が作られその間を少し堀下げた「江(え)」と呼ばれる物が作られていました.

この江があるために,中干しの期間にも生き物がそこに逃げ込み,生き延びることが出来ます.調査では,大きなドジョウやガムシ・ゲンゴロウの仲間が見つかりました.このような生き物は能登にもたくさん生息していますが,残念ながら田んぼの中では見かけることはありません.稲作の過程でどうしても生き物が住めなくなってしまう時期があるからです.

佐渡での取り組みは,本当にちょっとした工夫でした.このおかげで田んぼの生き物がずいぶん増えているそうです.しかし佐渡市の担当者の方には,この江を作るだけでも,当初は農家の方の理解を得ることが難しかったとお聞きしました.この取り組みは能登でも出来ることです.自然学校とNPOおらっちゃでは,すぐにでも導入し,農家さんと協力して能登の生き物を育むお米作りのブランドも立ち上げたいと考えています.

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最後は,トキの森公園で飼育されているトキを見てきました.トキの美しい色をこの目で見ることができ,しばらくトキが人と共に共存する里山を想像していました.

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たらい舟に見送られて,珠洲に向かいました.
短い時間でしたが,いろいろと勉強になりました.なにより参加者の方々に,トキとトキを育む地域の活動が紹介できたことが大きな成果だと思っています.今後は,佐渡と能登の交流も企画したいと思います.

(帰り道は,ものすごい荒波を越えていく大冒険でしたが,それはまた別の機会に).

投稿者 赤石大輔 : 2009年06月01日 21:01

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