金沢大学里山里海自然学校 HOME » キノコ日記

キノコ日記Top » 忙しい土曜日

ソーシャルブックマークに登録:

2008年10月19日

忙しい土曜日

10月18日

この日は大忙しの一日でした。

1.里山マイスター養成プログラム授業に講師として参加し、「キノコの採集と同定の実習」を行いました。
能登の人は、マツタケやアミタケなど天然キノコを昔からよく食べています。現在でも、多くの方がキノコ狩りを楽しんでいますが、キノコの生物学的な知識を詳しく知っている人は少ないようです。ですからよく「マツタケの人工栽培ができないか?」と聞かれることがあります。
里山マイスターの受講生の皆さんには、地域の伝統的なキノコの知識と最新のキノコ生物学の一端に触れてもらえたら、と思い今回の授業を担当させていただきました。

RIMG0131.jpg

キノコの採集地は、おなじみの自然学校保全林です。
今年はシバタケがたくさん発生し、キノコ狩りも楽しむことの出来る里山林になりつつあることを証明できました。 →  キノコ狩りの記事
しかし、最近雨がほとんど降らず、この日はキノコも少なめでした。
食べられるキノコとしてはアミタケ、ヌメリイグチ、最近毒キノコになったスギヒラタケ。
食べられないキノコでは、テングタケの仲間が少し採れました。

RIMG0137.jpg

採集を終えて、学舎に戻り同定作業を行いました。配付した資料と図鑑を元にキノコの種類を分けていきましたが、初めての人にとってはベニタケもテングタケもイグチもフウセンタケもなかなか見分けることが出来ません。
いろいろなキノコを覚えるのは楽しくもあり実用的でもありますが、ある本には200種程度覚えてからようやくキノコの話ができると言ってるように、非常にキノコの種類が多いため、険しい道のりです。
今回は、それぞれの科(分類上、比較的大きな枠組み)に典型的な種類とその形状を覚えていただくことと、能登で良く目にする美味しいきのこを覚えてもらいました。その後、キノコの胞子を顕微鏡で見たり、生態について紹介したり、質問に答えたりして、お昼までに講義を終えました。里山マイスターの受講生みなさん、お疲れ様でした。

2.モチ米の脱穀作業
前回、ビオトープで稲刈りをし、ハザ干しした餅米を脱穀しました。
隣の小泊保育所の園児達も参加(見学)してくれました。

081019-3.jpg

このとき私はマイスターの授業でしたので、実際に脱穀作業には参加できませんでした。脱穀に参加してくださった里山里海メイトの皆さんありがとうございました。
昔ながら+環境配慮の手法として足踏み脱穀機(動力=人力)で脱穀です。
そして唐箕(トウミ)で実の入った米と空の物を分けました。
精米すると30kg程度になるそうです。
12月に予定している収穫祭で使います。

091019-2.jpg

3.アメリカザリガニ駆除作戦

午後からは、野々江地区で外来種であるアメリカザリガニの駆除を行いました。
作業は里山里海メイト、地域の方々、高校生、NPO、自然学校関係者など、40名の参加者がありました。本当にありがとうございました。

081019-5.jpg

なぜザリガニを駆除しなくてはいけないのか?
私も幼稚園の頃から良く川で釣ったり飼ったりしていました。日本人にはなじみ深い生き物です。日本全国に分布していますが、珠洲ではそれほど広がっていません。日本の中では数少ないザリガニのいない地域なのです。
ザリガニが侵入すると何が問題なのか?少し紹介します。
ザリガニは、食欲旺盛で水中の有機物を何でもよく食べて水を綺麗にしてくれますが、珠洲の希少なゲンゴロウ類が生息するため池などにはいると、そこにある水草などを根こそぎ食べてしまい、短期間でため池の生物相が貧困になってしまうと恐れられています。実際どの程度影響があるのか解っておらず、自然学校と金沢大学の大学生が調査をしているところです。

081019-6.jpg

石川県が環境相の「生物多様性保全推進支援事業」に採択され、今回の駆除作業はこの事業の一環として行った物です。

作業はグループに分かれ5地点で行い、1時間ほどの作業で合計360個体のザリガニを駆除することが出来ました。
ザリガニの多い場所少ない場所、大型個体が多い場所、幼生の多い場所など少し明らかになりました。
卒論生による事前調査で移動範囲を調べるためにマークした、マーク個体も20ほど捕獲され、研究としても良い成果が上がることを期待しています。

RIMG0153.jpg

調査中に、大きなナマズなどが確認されました。珠洲でナマズを捕獲したのは初めてで、全長40cmほどあり、こんなに大きな個体は始めてみました。
黒いのがナマズだと思っていましたが、大きくなると緑の迷彩柄になるんですね。マジすげーかっこいいっす!秋篠宮様が研究対象とされるのが解ります。
大型の肉食魚類で、日本の淡水生態系の頂点に立つといわれています。このナマズはおそらくザリガニを食べに野々江の用水路にやってきたのだと思います。ナマズがザリガニを食べることで、実は珠洲のザリガニの繁殖を抑制しているのでは?などと考えてしまいました。野々江の水辺生態系の多様性をかいま見ることが出来ました。
作業に参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

RIMG0170.jpg

後日、皆様に今回の作業やこれまでの調査結果をまとめてお知らせしたいと思いますので、報告会の際はまたぜひご参加ください。

投稿者 赤石大輔 : 2008年10月19日 20:32

この記事へのコメント

18日は、盛りだくさんだったですね! 私は午後の部のザリガニ捕獲でしたが、幼生の多いのにびっくりしました。同じ環境から野生種のメダカを数匹発見したときには、愛おしくて、思わず頑張れよと言って、放流しました。同じ生き物を駆除しなければいけない現実、外来種が蔓延した時の環境をこれからも伝えていって下さい。  それにしても、アメリカザリガニ、エビに似て美味しそうでした!!

投稿者 クロメダカ : 2008年10月20日 15:27

クロメダカさま
ザリガニの捕獲作業参加いただきありがとうございました。
本当にたくさんザリガニがいましたね。これで少し減ってくれるでしょうか?メダカも一緒にいたということで、珠洲の水辺がとても生き物にあふれていることが証明できたと思います。またイベントを企画しますので参加してください。

投稿者 akaishi : 2008年10月20日 16:04