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2008年08月30日

保全林でキノコ山作り

8月30日

里山マイスター養成プログラムの林業実習で、マイスターの受講生達と里山里海自然学校の保全林を使ったキノコ山の整備を行いました。

前日はそのための準備で、小学生達と保全林を下見しました。夏休みもあと数日となりました。宿題をやったか聞いてみると、

「半分終わった」

とのこと。何と剛胆な小学生達!
おじさんは度胸がなかったから何とか夏休み中に宿題を終わらせていましたよ。
あっぱれです。先生にみっちり怒られてください。

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さて、最近は雨続きで、保全林には夏といえどキノコをよく見かけます。アワタケ Xerocomus subtomentosus 、ツチナメコ Agrocybe erebia、ドクベニタケ Russula emeticaなど、雑木林でよく見かけるキノコ達です。
保全林ですが、整備2年目は森林組合にご協力いただき、マツタケ山のモデル地もできあがりつつあります。今年はマツタケは難しいと思いますが、美味しいきのこが出てくれることを期待しています。
山の中で気持ちが良いので、子ども達とちょっぴり浮かれてしまいました。

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当日は、マイスター受講生とマツタケ山のモデル地で地掻きの作業をしました。
荒れた雑木林は、まず老木や低木を間伐し、不要な枝を落とします。最後に溜まりすぎた腐植層(腐葉土)を除去するのですが、これがかなりの重労働です。
腐植層に植物の根っこがびっしりと伸びているので、単に熊手で地面を掻いても根が引っかかって腐植がとれません。ですから植物の根を切りながら腐植を徐々にはがしていくという作業になります。これが大変な重労働で、今日は15人×3時間で、20m×10mをようやく終えたところです。今日の作業を単純に15人×3時間×時給800円=36000円とすると、山の整備はお金がかかりすぎてしまいます。ボランティアの力、もしくはその対価を支払えるだけの里山の資源利用を考えなければいけません。

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しかし(松茸1本3万円として)、マツタケが1本出れば取り返せる!という希望は、能登の里山管理にとって大切なモチベーションだと思います。他にも里山の多面的な機能を紹介することで、一定の理解は求められると思いますが、美味しいきのこに勝る材料はなかなか見つけられません。

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山の作業中に、切り株のそばからクロサンショウウオが出てきました。春先にため池でよく見かける顔も、夏にはどこにいるのかよくわかっていません。私も山の中で出会ったのは初めてでした。夏のサンショウウオの生活についてはあまりにも見つけにくいため、調査が困難でなかなか成果が上がっていないのが現状です。
保全林から300mくらいの所にクロサンショウウオが産卵をするため池があります。サンショウウオにとって私たちがやっている雑木林の整備は果たして有益なのか、余計なお世話なのか?里山の保全生態学者としては、サンショウウオにとっての森林整備の影響も評価したいと思っています。(でもやっぱり見つけるのが大変だなあ。)他に、ヒミズの巣も見かけました。ヒミズにとっても住み慣れた巣を壊されて迷惑だったと思います。

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里山の保全活動は反面、環境破壊も含んでいるな、と実感しました。
どういった自然環境を選ぶか、どれがより好ましいかはそこに住む人たち、そしてそれに関係する人たちが良く議論する必要があります。マツタケ、ゲンゴロウ、ザリガニ、コウノトリ、トキ。私たちはさまざまな環境アイコンを提示して奥能登の里山保全を目指していますが、アイコンそのものが一人歩きすることの内容に注意を払いたいと思います。

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マツタケは出なくとも、こんなに可愛らしいアカイボカサタケ Rhodophyllus quadratusはこの山に出ているわけです。

投稿者 赤石大輔 : 2008年08月30日 19:16

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