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2007年12月06日

秋,紅葉の雑木林

11月27日

珠洲市若山町中の集落で,40年ほど前から雑木林作りをされているNさん宅を訪れた.
若山町中の集落はかつて炭焼きが盛んに行われており,その形跡が雑木林に今も残っている.

Nさんは今年81才.教員をされていた40年前,卒業生が珠洲へ戻ってきたときに,みんなで集まれる場所を作ろうと,杉を植林されたのをきっかけに,ここに森林公園を作ろうと思われたそうだ.

植林された杉林を抜けると,コナラとアカマツが混生する雑木林にはいる.
そこには,様々な色のモミジが散在している.
炭焼き職人がコナラを切る際に,モミジを残すようにしてもらったそうで,
秋には,写真のように美しい紅葉をみることができる.
今年は紅葉が遅く,11月末まで美しい風景を見ることが出来た.

071127.jpg

戦後の拡大造林で,反対側の山はほとんど杉が植えられている.
ふるさとの風景を少しでも残しておきたい,そう思われたそうだ.
70年代に始まった松枯れの被害が珠洲にもやってきて,
「樹齢百何十年のアカマツが枯れたときは,本当に悲しかった.」
そうおっしゃっていた.

雑木林の頂上付近につくと,Nさんは足を止め,深呼吸をされた.

「私はこの先には一度も上ったことがありません.
この先に入ろうとすると,胸が苦しくなります.私はここに神様がいると感じます.」

とくに変わった様子のない林だが,Nさんにとっては,神聖な場所なのだろう.
自然を愛し,畏敬の念を抱く.そういう日本人の根源的な宗教観を,Nさんはお持ちなのだ.
私もこれ以上奥へ進む気にはなれなかった.

私は特に宗教を持ってはいないが,生き物に対する尊敬の念は持ち続けたいと思う.
神様がいるかいないか?という議論などしたくはない.
でも今,この場でNさんの足を止めている,Nさんの中にいる神様は,信じたいと思った.

Nさんは,多くの人にこの場所を見てもらいたいとおっしゃっていた.
ここは広くはないがとても美しい林だ.これまで大変なご苦労で,維持されてきたのだろう.
一人でも多くの方にここを見てもらうような機会を作っていきたい.

投稿者 赤石大輔 : 2007年12月06日 10:33

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