2007年06月29日
6月16日−17日(4)
里山里海リーダー養成講座の珠洲での実習を行いました.
2日間のスケジュールは以下の通りです.
6月16日朝8時に金沢を出発し,10時半頃自然学校に到着.
すぐに,里山里海メイトの雑木林の保全活動に参加しました.
「ほら,大学生しっかりせい!」との声もきこえてきましたが.
みんな一生懸命木を切ったり運んだりしてくれました.
一汗かいてお昼のおうどんをいただいてから,
13時からは授業です.
体験プログラムの作り方と自然体験活動の基礎技術
を2時間みっちりお勉強しました.
15時から本日の宿泊場所である
農家民宿「ひろ吉」さんへ移動し,
珠洲の食材を使った料理実習を行いました.
火おこし
魚さばき
豆腐作りを体験しました.
男の子でも魚をさばくのが初めてで,内蔵を出す作業で腰の引けている子もいました.
17時頃ようやく準備が整い,庭で夕食をいただきました.
メインはさばいた鯛を珠洲の炭で焼いた「鯛の塩焼き」,そして「イシル鍋の海藻しゃぶしゃぶ」です.
夕暮れのなか,みんなで美味しくいただきました.
19時から,ホタルの講演会を聴き,
第一日終了です.
第2日は朝6時に集合し,アサギマダラの調査を行いました.
8時過ぎにひろ吉に戻り,朝食はモズク雑炊.
以前いただいた雑炊がとっても美味しかったので,是非学生に食べさせたく,
リクエストしました.学生らにも大好評でした.
(写真がないのが残念!)
9時半,最後の授業は自然学校周辺の里海を散策し,
自分たちで体験プログラムを作り上げるというもの.
海岸ではたくさんの生き物たちと磯遊び,秋にはタコすかしも行える
素晴らしい環境であることをつたえると,学生たちはぜひまた秋に来たいと
言ってくれました.
2グループに分かれて,体験プログラムの発表.どちらのグループもなかなか面白い体験を考えてくれました.
自然学校では今回初めて大学生のためのリーダー養成講座を行いました.
最初は人数を集めるのが大変で,どうなることかと思いましたが,
良いメンバーに恵まれ,素晴らしい講座になったと思います.
夏はいよいよ,彼らが能登でリーダーとして自然体験プログラムの指導を行います.頑張って能登の自然の素晴らしさをつたえてもらいたいです.
2007年06月25日
6月16ー17日(3)
6月17日(日)朝6時から,
アサギマダラ調査隊の第2回調査を行いました.
今回は,金沢から3大学(星陵大学,石川県立大学,金沢大学)の学生8名と,
おじさん5名,合計13名で行いました.
大学生は前日から珠洲に来ていたのですが,民宿ではほとんど寝ていなかった
ようで,ものすごく眠そうです.大丈夫でしょうか?
今回も,前回と同じように,寺家,狼煙,川浦を回って調査しました.
天気もそこそこで,期待していったのですが,結果は5頭と,ずいぶん少なかったです.
そろそろアサギマダラの飛来も終わり日かずいてきたのでしょうか.
めぼしいスポットにチョウがおらず,すこし気の抜けてきたメンバーたち.
狼煙でようやく1頭飛んでいるのを発見!
するとメンバーみんなの目がしゃきっと覚め,
網を持って追いかけます.
みんな虫取り網をふるのは久しぶりということですが,
大学生よりおじさんの方が網裁きは上手でしたね.
百万石蝶談会の松井先生によると,今年石川県の海岸で確認された
アサギマダラは17日までで通算506頭だそうです.
かなりの数ですが,昨年の半分ほどのようです.
年によって数が大きく変動する生き物は魚でも
昆虫でもたくさんいます.
ただ,大きく数が減ったときに環境変動や生息地の破壊が起こると,
一気に絶滅するということもあります.
アサギマダラのように,アジア一円を数世代かけて移動する生物は,
広大な生息地が必要になります.中継地点の一部が無くなってしまえば,
大きな打撃となります.
いつの間にかアサギマダラがいなくなってしまったなんて言うことの無いように.
そのためにも,能登に住んでいる皆さんが,アサギマダラという生き物の名前を
知っている,ということが大切なんだと思います.
2007年06月24日
6月16日ー17日(2)
16日19時から,
「蛍の飛び交う里山の保全について」というタイトルで,
講演会を行いました.
講演会には,お二人の先生にお越しいただき,蛍の生態について,能登のホタルの現状,ホタルをはじめとした里山生態系の大切さやその保全の方法についてお話し頂きました.
水田+生物保全=ホタル
という公式があるように感じています.
ホタルさえいれば良いとか,
ホタルがいないような水田は価値が低い思われる方が多いようです.
しかし,
ホタルがいる水田が最高ということではないし,
ホタルが全てではありません.
ホタル以外にも水田に生きる生物はたくさんいるし,
次第に姿を消してきています.
それらを保全することも大切なこと.
水田の生き物たち全てに目を向けること,
水田を生態系として見ることが,求められている事なんです.
そういったお話を,K先生,F先生のお二人にして頂きました.
今回の講演会には,50名の参加者がありました.
珠洲市から農家の方々がたくさん参加して下さいました.
ありがとうございました.
奥能登の農村生態系保全にかかわる大切な講演会になったと思っています.
今後も,こういった講演会を開いていきたいと考えています.
もしご要望がありましたら,自然学校までご連絡下さい.
連絡先 ー>
「能登半島 里山里海自然学校」事務局
〒927-1462 石川県珠洲市三崎町小泊新ル11
TEL・FAX:0768-88-2528
E-mail:info@satoyama-satoumi.com
2007年06月17日
6月16日ー17日(1)
6月16日,17日は,たくさんのイベントがありました.
- 16日午前9時から,「里山里海メイトの定期保全活動」.
- 午後19時から,「ホタルの保全についての講演会」
- 17日午前6時から,「アサギマダラ調査隊」
- 16,17日2日間の「大学生対象里山里海リーダー養成講座」.
の4本です.
ですので,今回は何回かに分けて報告したいと思います.
里山里海メイトの定期保全活動が開催されました.
当日はメイトの方々21人,金沢から大学生8人+講師3人参加し,
総勢32人で活動を行いました.
今回は,雑木林の整備とマキ集めです.
作業は3回目となり,鬱そうとした林が,大分明るくなりました.
元々アカマツ林であった場所ですが,
驚いたのは,タブノキがたくさん進入していたことです.
珠洲の海岸沿いにはタブノキがたくさんありますので,
そこから運ばれてきたと考えられます.
里山の荒廃を考えたとき,
アカマツ → 落葉広葉樹 → 常緑広葉樹
という遷移段階が,
アカマツ → 常緑広葉樹
と,アカマツからコナラなどの落葉樹のプロセスをすっ飛ばして
いきなり常緑樹林に変化してしまうということが判りました.
この場所は,30年ほど放置されていたと聞いています.
こちらでは,アカマツの明るい林から,とても暗い常緑の森になってしまうまで,
あまり時間がかからない環境なんだということが判りました.
そうすると,明るい林で生育していた林床植物などは,
通常よりも早く姿を消すことになるのかもしれません.
(地域によって里山の顔はすべて異なると思いますので,
通常という表現があまり良くありませんが).
本日の作業で,軽トラック2台分のマキを集めることが出来ました.
今年の冬にマキストーブが入る予定です.
そのためのマキは十分そろったかな?
作業の後,スタッフの方が作ってくれた「冷やしうどん」をいただきました.
うどんのダシは小泊の「長手崎すいせん工房」が作っている「アゴダシ」です.
アゴダシのアゴはトビウオの意味です.
この時期揚がってくるトビウオを開いて炭火で焼き,乾燥させた物です.
アゴダシでつくったうどんのの汁はとても上品で美味しかったです.
また,メイトのUさんが作られている無農薬無肥料のお米でたいたご飯もいただきました.
もちもちして甘く,とっても美味しかったです.
Uさんありがとうございました.
雑木林はあと3回程度作業をすると,一段落付きそうです.
これから夏に向けて熱くなりますので,無理をせず,着実に広げていきたいと思います.
2007年06月13日
アサギマダラ調査隊
6月10日
朝6時自然学校集合の号令に,集まった精鋭はみさき小学校の生徒3名.
アンドおじさん4名(私を含め).
みんな寝癖をつけたままでしたが,やる気はみなぎっています.
寺家,狼煙,川浦を回りましたが,
残念ながら前日からの雨で,アサギマダラが飛ぶには気温が低く,
捕獲出来たのは合計3頭.
それでも子供たちは喜んでくれました.
「羽の黒いのがあるし,おなかも黒いからオスや!」
オオ!ブラボー!
素晴らしい!この間の講演会で覚えてくれたんだね.
羽に子供たちの名前を記入し,
このチョウがどこかで再び捕まることを願って,
再び空に放しました.
今週末もアサギマダラ調査を行います.
海岸ではこれが最後になると思います.
日時:6月17日(日曜日)朝6時.
集合場所:里山里海自然学校
準備:動きやすい格好,あれば昆虫網,極細の油性ペン.
※ 自然学校では網,ペン,記録紙を20組準備してあります.
朝早起きして,みんなでチョウに会いに行きましょう.
草の根交流
6月9日
6月7−11日に,日米草の根交流サミット能登大会が開催され,
珠洲分科会3日目の「里山里海体験」が里山里海自然学校で開催されました.
当日は,アメリカから合唱団70名と,そのホストファミリー,そして体験プログラムの
実行委員,サポート会,婦人会,小泊青壮年部,小泊振興会の皆さんが集合し,
200人を超える大イベントとなりました.
あいにくの雨模様でしたが,
豆腐作り,アゴだし作り,ハーブリース作り,キリコ体験,
茶道体験など,様々な体験プログラムが行われました.
朝10時に自然学校に集合し,まずはじめに自分たちのお昼をつくりました.
おむすびを自分でむすび持って行きます.
これが結構好評で,みなさん楽しんでいただけたようです.
思いつきでしたが提案して良かったです.
さて,お客さんはアメリカの方,英語で案内をしなければなりません.
私も通訳?というか,案内役を仰せつかりました.
担当は,「茶道体験」です.
実は,修士の頃,金沢大学の茶道部でお手前を勉強させて頂きまして,
多少の知識はあるということで,担当させて頂きました.
お茶会"tea ceremony"の場所は,いつもお世話になっている
「織陶苑」さんです.
ここは,自然学校のある小泊の隣,伏見にある坂本さんのお宅で,
珠洲焼きの工房,織物工房,そして農家レストラン「典座」があります.
典座はいつもお客さんが来られると利用させて頂いていて,自然学校の
「迎賓館」となっています.
江戸末期に建てられた素晴らしいお宅で,
大きなアテのある庭もとても良いです.
そんな素晴らしいお宅でのお茶会には,
わざわざお茶の先生も来て頂き,本格的なものとなりました.
私の仕事は,先生のお話を英語で伝えることでしたが...ほとんど無理でした.
大まかなことをつたえて,あとは"Please enjoy !!".
うーん,精進したいと思います.
無事?茶道体験も終わり自然学校に戻ると,キリコが完成していました.
みんなでキリコを担いで,太鼓の音を聞くと,人種,国籍に限らず盛り上がるモンだなーと思いました.
準備,後かたづけが大変でしたが,今回のイベントは
自然学校の大きな実績になったと思います.
6月の保全活動
6月の里山里海メイトの会,定期保全活動を,
6月16日(土曜日)午前9時から行います.
今回は,3月から行っている雑木林の管理作業です.
木を切り,それをマキにして自然学校で利用します.
冬にはマキストーブがはいる予定ですので,
その燃料としましょう.
里山里海メイトの会定期保全活動
日時:6月16日(土曜日)午前9時から.
活動内容: 雑木林の整備.
参加費: 200円
準備:作業出来る服装,あれば軍手,鎌など.
作業後は,おうどんを準備しております.
(皆様の参加費は,傷害保険・通信費・軽食代に当てています.)
皆様の参加をお待ちしております.
2007年06月07日
いちごジャム
6月7日
スタッフの方から,苺をいただきました.
おばあちゃんの作った無農薬の苺,とっても甘くて美味しかったです.
たくさんいただいたので,残りをジャムにしました.
よく朝はヨーグルトを食べているのですが,それに付いてくる砂糖は
使わずにためておいたのです.
いつかお菓子作りにでも使うだろうと思っていましたが,
ついに日の目を見ました.
苺のへたをとり,半分に切って鍋に入れ,大量の砂糖を投入しました.
浸透圧で苺からたくさん水が出てきます.
それを火にかけ,アクを取りつつ煮て,最後にレモンを入れて火を止め,
完成です.
あまーい!
美味しくできました.
(数日で完食してしまいました,あれだけの砂糖を使っているから,
カロリーが...).
2007年06月04日
アサギマダラ飛来!
アサギマダラが珠洲に飛来!
6月4日
ついにアサギマダラが珠洲の海岸にやってきました.
朝7時に鉢ヶ崎海岸から調査をスタート.
高波,引砂,寺家,とまわり外浦の川浦で発見!
最初の一匹が目に映った瞬間,いわゆる
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
という感じで,脳内物質がドバーっと出て行く感じがしました.
昆虫採集に限らず,蒐集をする人間,珍し物好きの人間には分かる感覚
だと思います.
網を持って近づいてみると,スナビキソウのまわりから
フワッ,フワッと数匹が飛び上がりました.
おお,いるいる!
慎重に近づいてサッと網で捕獲し,
人生初めてのアサギマダラのマーキングをしました.
川浦で5個体,高屋で3個体マークしました.
調査記録
場所 時刻 性別 書いた内容
1.川浦 7:45 ♂ すずろく 6/4 DAS
2.川浦 7:50 ♂ すずろく 6/4 DAS2
3.川浦 7:55 ♂ すずろく 6/4 DAS3
4.川浦 8:00 ♂ すずろく 6/4 DAS4
5.川浦 8:05 ♂ すずろく 6/4 DAS5
6.高屋 8:22 ♂ たかや 6/4 DAS1
7.高屋 8:25 ♂ たかや 6/4 DAS2
8.高屋 8:27 ♂ たかや 6/4 DAS3
※ すずろく:珠洲市禄剛崎の意味(正確な場所は川浦でした).
DAS:ダイスケ アカイシ スズ の意味です.
さて,アサギマダラの調査の醍醐味は,別の地点でマークされた個体を
再捕獲することです.
そうすることで,このチョウがどこから来てどこへ行くのか確認出来ます.
今日は高屋でマーク個体を捕まえました.
このときもまた,キター!!
となりましたが,確認してみると,同じ高屋で先日マークされた個体でした.
淡路島とか遠くの個体を期待したのでちょっと残念ですが,
数日間は同じ場所にとどまることが確認出来たことになります.
再捕獲
1.高屋 8:30 ♂ IMM D34 たかや
先日講演をして頂いた,松井先生のマークでした.
松井先生はすでに珠洲でたくさんのチョウにマークをされています.
松井先生の記録:
5月27日
珠洲市寺家港 1頭
6月2日
珠洲市小浦出海岸 14頭
珠洲市大崎 12頭
珠洲市川浦海岸 5頭
珠洲市寺家港 3頭
珠洲市高屋海岸 20頭
珠洲市仁江海岸 4頭
珠洲市狼煙海岸 7頭
珠洲市三崎宇治海岸 2頭
珠洲市鰐崎 2頭
おそらく,今後6月いっぱい見られると思いますが,
今週末あたりがピークになるのではないでしょうか?
そこで,10日の日曜日にアサギマダラの調査を行いたいと思います.
10日に雨が降っていなければ,高波,引砂,寺家,狼煙の海岸を
調査したいと思います.早朝ですが,参加可能な方は,ぜひ集合して下さい.
事前にご連絡頂けるとありがたいです.
アサギマダラの調査:
日時:6月10日朝6時
集合場所:里山里海自然学校
準備:動きやすい格好,あれば昆虫網,極細の油性ペン.
※ 自然学校では網,ペン,記録紙を20組準備してあります.
珠洲の海岸へ,美しい旅人に会いに行きましょう.
2007年06月01日
春のしばたけ
6月1日
富山大の先生方2人と,金沢大の学生4人が調査に来られました.
富山大の方々は,珠洲と金蔵で,ため池の水質について調査をされました.
どうやら,かつて海の底だった場所と,島として残っていた部分で,
現在の水質が異なっているかもしれないということです.
アカマツが珠洲にたくさんある理由も,地質が影響しているということも考えられるそうです.勉強になりました.
三崎町の雁の池付近を調査中,アカマツの下に,アミタケ Suillus bovinus (L.:Fr.) O.Kuntze が!!
石川県では,「しばたけ」と呼ばれ親しまれている秋の風物詩ともいえるキノコです.
それがこんな時期に発生するなんて?と思われる方も多いと思います.
しかし,キノコの中には適度な雨と気温になると,
春と秋の2回発生する種類も結構あります.
(地方によってはマツタケも春に出ることもあるらしいです.)
先日,科学雑誌「SCIENCE」に,これと関係した興味深いデータが載っていました.→ 論文の要約
この論文では,イギリスで1950年〜2005年までの52000個のキノコの発生パターンの傾向を調べました.
(それだけでもものすごいデータです!イギリスの生態学の歴史はすごい).
気候の変化で夏の終わりが暖かく,秋の雨が多くなってくると,
キノコも早くから遅くまで発生し続け,
その発生期間が1950年から2005年で2倍以上(33日から74日)になったそうです.
また,秋にしか見られなかったキノコが,気候の変化で1975年くらいから
春も発生するようになったという結果が示されました.
じゃあマツタケの場合はどうなんでしょうか?
発生期間が長くなれば,マツタケ狩りのシーズンがのびて喜ばしいことかもしれません.
しかし,残念ながらこの論文には針葉樹と関係のあるキノコは発生期間の変化は見られなかったとあります.
また,秋に暖かいと,マツタケがキノコを作る気をなくすことも知られています.
秋の気温が18度以下になると,マツタケはキノコを作る準備を始めるのですが,
再び気温が20度以上になったりすると,せっかく作ったキノコの赤ちゃん(子実体原基)がそれ以上大きくならないそうです.
だから,秋に暖かい日が続くと,その年はマツタケは不作ということになります.
温暖化はマツタケにも大きな影響を与えるんですね.
さて,今日は珍しくキノコの話と,ちょっとアカデミックな話ができました.
みなさん,私も一応博士です,忘れないで下さいね.