2005年11月25日
アンモニア菌
11月20日.龍谷の森の調査も最後となった.
オオキツネタケLaccaria bicolor (Maire) P.D.Orton
アンモニア菌で,夏から秋に林内の放尿跡や動物死体分解跡などより発生.
ヒダがムラサキ色をしている.
林内の調査コドラート内にこのオオキツネタケを発見.もしかして動物のトイレがあるのかと見回すと,やはりあった.その周りにご覧の通りキノコが発生している.
このキノコは,さらに発生後に動物に上から糞をされていた.
ちょっとかわいそうと思ったが,動物のトイレがこのキノコにとってゆりかごであり,棲み家であるわけだから,もしかしたら幸せなのかも.等と考えてしまった.
この糞は誰の者だろう.アケビの種が大量に含まれている.タヌキ,キツネ,イタチ?
分かったら追記します.
このキノコ,可食と書いてある.
「ゴボウと一緒にごま油で炒め,醤油で味付けをして酒の肴にする」............僕は遠慮しときます. 続きを読む "アンモニア菌"
2005年11月11日
きのこ集会
11月9日,龍谷大学瀬田キャンパスの龍谷の森にて,「山菜・キノコ採集文化を語る小さな会」が開かれた.主催してくださったのは,里山ORCメンバーの谷垣さんと山本さん.私にも声を掛けてくださり,参加させて頂くことになった.
写真は,龍谷の森で保全の会の方々が栽培されているシイタケLentinus edodes (Berk.) Sing.のホダ木の行列.これをはじめて見た時はあまりの美しさに感動した.
みんなでお鍋にする材料集め,そしてお持ち帰りの分をとっているところ.
その他に,龍谷の森で採れたアミタケGomphidius roseus (Fr.) Karst.とオウギタケGomphidius roseus (Fr.) Karst. を鍋に入れてキノコ鍋をした.どちらも若いアカマツから発生するキノコで,角間ではお目にかかれない.アミタケは石川県の人はシバタケと呼び,よく採集されているようだ.
スギヒラタケPleurocybella porrigens (Pers.:Fr.) Sing.も出ていたが,昨年のニュースがまだ記憶に新しいため,今回は鍋に入れるのはやめておいた.
里山での調査も楽しいが,やはり里山で採れた食材をその場で食べ,ワイワイと話をするのは非常に楽しい.写真のおにぎりは,仰木で採れた新米とのこと.美味しかった.
みんなでキノコ鍋をした後に,里山のきのこについての勉強会をした.
まずは,京都大のSさんから,日本における山菜とキノコの利用パターンの違いを紹介して頂いた.関東,東北と関西では利用する山菜やキノコの種類がずいぶん違う.東北のほうがいろいろな種類のキノコを利用しているようだ.
続いて,私の角間と龍谷のキノコ相の比較研究の結果を紹介した.
角間と龍谷ではキノコ相が大きく異なる.ベニタケ科,テングタケ科,イグチ科が多いのは共通しているが,共通する種類は非常に少ない.おそらく,植生の違いが大きいためだと考えられる.里山と一言でくくっているが,地域によって里山の顔がずいぶん違うものだ.
東北と関西の山菜・キノコ利用の違いも,里山の植生に関連している.
Sさんから頂いた資料の中から,石川県を見ると,白峰は東北よりの利用パターンであるのに対して,輪島では関西よりの利用パターンだった.
加賀の山深い地域は東北に似ているのに対して,能登のマツ林が多い地域ではマツタケを中心とした関西の利用に似ていると考えられた.角間と龍谷のキノコ相の違いは,東北と関西の植生の違いや山菜利用の違いに近いものがあるのではないか.
話は変わって,こちらの写真は,ナガエノスギタケHebeloma radicosum (Bull.:Fr.) Rickenである.あの,モグラの巣のトイレから発生すると言われる希なキノコだ.私も初めて見ることができて感動した.
いやー,今回は本当に楽しかった.どうやら,論文書きで大分ストレスがたまっていたらしい.帰り道は久しぶりに晴れ晴れとした気分になっていた.