2008年10月28日
お知らせ
テレビ放送のお知らせです。
明日29日夕方5時35分放送の「スーパーJチャンネル」にて、
珠洲市のマツタケ山再生に関する特集が5〜6分のVTRで紹介されます。
春から長期にわたり珠洲のマツタケ山再生事業について、また里山里海自然学校が取り組む能登の里山再生事業についての取材をしていただきました。とてもよい特集になっていると思います。
また後日ご報告しますが、今年も整備林からマツタケが発生しました。新たに発生した箇所もあり、成果は目に見えて上がってきています。マツタケ山を作ることと、里山里海保全と、どのような関係があるのか?そんなお話が聞けると思います。
お時間がありましたらぜひご覧ください。
(大きなニュースが入ると変更もあるそうです。)
リンク → HABホームページ
投稿者 赤石大輔 : 19:58
2007年11月09日
石川きのこ会と,きのこ同定会
10月20日
里海自然学校にて,石川きのこ会と里山里海メイトの合同キノコ同定会が開催されました.
石川きのこ会 は,私の師匠である池田良幸先生が始められた金沢のキノコの同好会です.ただキノコを採集して食べるという目的だけでなく,より学術的な取り組みをされており,石川に存在するキノコ相の把握や,まだ図鑑に載っていないおおくのキノコの標本やスケッチを作成されています.
すでに,石川のきのこ図鑑(1996,絶版)をはじめ,全国でも高い評価を得ている 北陸のきのこ図鑑(2005) ,最近では一般向けに, 食用きのこが一目でわかる北陸のきのこガイド が発刊されるなど,とても活発な活動をされています.
私もきのこ会に入らせていただいており,その縁あって今回自然学校で「能登交流会」を開催させていただきました.
各自金沢から能登へ向かう途中,能登の方は自分のフィールドで,きのこを採集して同定会に持ち寄ります.
ここで言葉の意味を少し,
どうてい 【同定】
(名)スル〔identify〕
(1)ある物をある一定の物として認めること。あるものとあるものの同一性を認めること。
(2)生物の分類学上の所属・名称を明らかにすること。
(3)融点や沸点、各種の吸収スペクトルなど、物質に固有な性質を利用して、単離した目的物質が何であるかを明らかにすること。
このように,生き物の名前を明らかにすることを同定といいます.「鑑定」という言葉も使いますが,こちらは骨董品など物に対して使われることが多いですね.
さて,同定会当日は,参加者もたくさん来ていただき,きのこもずいぶん集まりました.少し紹介していきましょう.
1.スッポンタケ Phallus impudicus Pers.
2.エリマキツチグリ Geastrum triplex (Jungh.) Fisch.
3.モミタケ(「さまつ」は能登方言)Catathelasma ventricosum (Peck) Sing.
4.ヌメリイグチ Suillus luteus (L.:Fr.) S.F.Gray
5.カンゾウタケ Fistulina hepatica Schaeff.:Fr.
今年は,水不足できのこも少ないといわれていますが,皆さん流石にきのこ発見能力が高いのか,たくさん集まりました.
里海メイトも参加していただき,こんなにたくさんのきのこを見るのは初めてだと感激されていました.
今度はきのこ鍋もやりたいですね.
投稿者 赤石大輔 : 10:34
2007年10月23日
コノミタケ
10月18日
能登町柳田村周辺にて,能登特産の美味しいキノコ,コノミタケの調査を行いました.
去年も能登の道の駅などで販売されている物を見たことがあったのですが,発生をこの目で確認するため,
今回は地元の方に特別に発生場所に連れて行ってもらいました.
能登はおおくの里山が私有地ですので,勝手にはいることはできません.でも最近は金沢や富山からも
キノコシーズンにはたくさんの人が能登へやってきてキノコ狩りをされるそうです.
たくさんの人が能登にきてくれる,それはいいことだと思いますが,山を荒らしていく方も多く,
やはり里山に入るときのマナーを守ることが一番大切だと思います.
さて,今回はコノミタケの調査です.
コノミタケはホウキタケの仲間で,白い珊瑚のような形をしています.
奥能登,特に能登町方面では比較的たくさん発生し,昔から地元の人々に食べられていました.
「北陸のきのこ図鑑」には「好味茸」と漢字が当てられていて,好みの味,美味しい味のキノコという名前のようです.
しかしコノミタケという名前は能登の地方名,方言です.このキノコは正式な和名や学名がついていないのです.
能登の人々が昔から食べているようなキノコも,学術的にはまだまだ謎なキノコということです.
ホウキタケ全体の分類が遅れているのは,どこにでもたくさん出ているキノコではない,珍しいキノコであるということも一因のようです.
コノミタケはミズナラやコナラの多い雑木林に出るそうです.
おそらくナラ類の菌根菌(木と共生しているキノコ)だと思われます(これも確認する必要があります).
柳田村あたりは薪炭林が多くあり,そのような人によって管理された林に多く出ていたようですが,
最近発生量が減ってきているようです.やはり里山の荒廃が影響しているのでしょうか?
マツタケと同様,コノミタケも里山の大切な恵ですので,またたくさん出るようにしたいです.
山に入って最初に見つけたのは,コノミタケではなくホウキタケ(の仲間?)の方でした.
これは白い枝に先端がピンク色の美しいキノコです.山に発生している姿は始めてみました.
こちらもとても美味しいキノコです.
1時間ほど歩いて見ましたが,最初に入った山には残念ながらコノミタケは見つかりませんでした.
次の山を目指し移動する途中,直売所に入るとといくつか売られていました.
どうしてもほしかったので2200円のコノミタケを購入しました.
重さを量ってみると200gなので,㎏あたり11000円になります.
やはり高価なキノコですね.
2つめの山で30分ほど歩くと,ありました!ついに見つけました!
雑木林の林床に,白い珊瑚がぽこっと出ている様子は宝物を見つけたようでとても感動しました.その後も30分ほど歩き回って,4つほど見つけることができました.
今回は食べるためではなく,コノミタケの標本を手に入れるための調査でした.コノミタケがどういったキノコなのか,どんな生態をしているのか.他の研究者とともに今後明らかにしていきたいと思います.
投稿者 赤石大輔 : 11:14
2007年10月09日
キンモクセイの知らせ
先日,角間の里へ寄ったとき,里山メイトのある方から「能登でもう金木犀は咲いたか?」
という問い合わせがあった.
「まだです,なにかあるんですか?」と聞くと,
「金木犀が咲いたら,シバタケが出るんや」とのこと.
なるほど,山の達人は人それぞれに自分なりの暦を持つというが,
シバタケのシーズン到来を金木犀の開花でよむのか.
シバタケは石川県での方言で,標準和名はアミタケ,学名は
Suillus bovinus (L.:Fr.) O.Kuntzeである.
数日前からようやく,珠洲でも金木犀の香りが出した.
シバタケもそろそろか,と調査ついでに自然学校の近所にある
めぼしいアカマツ林をのぞくと,あった.
日暮れ前の林の中で,ぽつぽつと出ているオレンジのつぼみを
発見することができた.
初物である.
勢いづいてあたりを探しまわるが,
今日は一カ所しか発生地点を見つけられなかった.
それでも食べられるキノコを発見したときは,特別な喜びがある.
秋の訪れを感じる,幸せなひとときだった.
こんなすばらしい体験を,近所の道ばたでできるのだから,
珠洲の里山は恵みの多い場所だ.
今年はキノコのシーズンが遅れている.
9月中頃にあった異常な暑さのせいだろうか,
キノコに限らず植物なども遅れているとのことだ.
今日は,自然学校が開校して一周年の記念日でもある.
一年がんばってきたご褒美に,キノコの神様が初物を
届けてくれたのだろうか?
しかし肝心のマツタケは,今年はまだ出ていないらしい.
このまま雨が少なければ,去年に続き不作の年になるかもしれない.
研究者も生産者も天候は操れないので,努力が報われない年は
がっくりと肩を落とすことになる.
マツタケが豊作になるように,
最後はやはり神様にお願いするしかないようだ.
投稿者 赤石大輔 : 20:23
2007年09月26日
マツタケ?
070922
立命館大学の吉田先生とクモの調査で山伏山に登りました.
この日は,山頂のお宮で儀式?というか催しがあり,
美しい笛の音が聞こえていました.
私はクモの調査を横目にキノコを探していると,
スダジイの下に驚くべきキノコが!!
あー,おー,あれ?マツタケ?
スダジイ?なにそれ?
マツタケに非常によく似ているキノコですが,
出ている場所がおかしい.
アカマツがないのに何でこんなのが出ているのか?
とてもびっくりしました.
手に取ってみると,なんだか柔らかいし,根本は細い.
黄色みがかかっていて,なにより独特のマツタケ臭が全然ない.
だんだんマツタケには見えなくなってきました.
自然学校へ持ち帰り,図鑑を繰ると,やっぱり出ていました.
「ニセマツタケ」Tricholoma fulvocastaneum Hongo
というのだそうです.
引用:マツタケより早くブナ科樹林下に発生し,黄色みを帯び匂いなし.
あー残念.というかそんな場所でマツタケが出るはずないのだから,
興奮するのもおかしいのですが.
珠洲ではまだマツタケは出ていないようです.
このニセマツタケが今年のマツタケの発生を期待させるものなのかどうか?
今後も継続調査を行っていきます.
投稿者 赤石大輔 : 17:54
2007年07月18日
ヤマドリタケモドキ
7月17−18日
富山大の学生が,珠洲,輪島市のため池の水質調査に,自然学校を訪れました.
最近,たくさんの研究者が自然学校に集まって奥能登の調査がスタートしており,
研究所として,賑やかになってきました.
珠洲の調査地の味噌池近くの林道で,目に飛び込んできたのは,
巨大なヤマドリタケモドキ Boletus reticulatus Schaeff.
傘の直径20cm,柄の太さ7cmほど,
これほど大きな物ははじめてみました.
ヤマドリタケモドキは,コナラなどブナ科広葉樹林,またはマツとの混成林内に発生します.
ヨーロッパではポルチーニやセップと呼ばれ大変珍重されている
ヤマドリタケ Boletus edulis Bull.:Fr.の親戚.
ヤマドリタケよりも香りが弱いが,とてもおいしいキノコとのこと.
割ってみると,虫食いもなく,ほんのり甘い香り.材料としては最高!
それじゃあ食べてみるしかない!
今日はお客さんも来ているし,晩飯はこれを使って作ることにしました.
ヤマドリタケモドキは,和洋中どれにも合うそうです.
今回は,「ベーコンとヤマドリタケのクリームパスタ」にしました.
キノコの傘の部分は,ふんわりとして甘い.
柄の部分はしゃきしゃきとした歯触り.
おー,なかなか美味しい!
さらに,水でといた小麦粉をつけて天ぷら風にしてみましたが,
これはちょっと失敗.
ヤマドリタケなどイグチ科のキノコはひだの部分がスポンジ状になっていて,
水洗いしたときにたくさん水を吸ってしまい,油がたくさんはねました.
しかもスポンジのところが油だらけになって,しつこい天ぷらになってしまいました.
でも味は良かったです.
スープも作り,おなかいっぱいヤマドリタケモドキを堪能しました.
ヤマドリタケモドキは夏のキノコなので,この後もまだまだ出ると思います.
乾燥にしても良いらしく,これから楽しみです.
投稿者 赤石大輔 : 15:05
2007年04月27日
アミガサタケ
4月26日
金沢で会議その他.
今日は,朝から田上小学校の児童がタケノコ掘りに角間へやってきた.
角間キャンパスの竹林は毎年拡大し続け,広大な面積になっている.
里山メイトの「たけんこクラブ」の皆さんが,良い竹林作りをされてから,
もう4年ほどたつ.皆さんのご苦労により,美しい竹林ができあがった.
この竹林では毎年大きく,美味しいタケノコがたくさん採れるようになった.
この竹林に発生していたのが,アミガサタケのなかま,
(おそらくマルアミガサタケ Morchella esculenta var.rotunda).
アミガサタケの仲間は,子嚢菌類で,いわゆるキノコである担子菌類とは異なる分類に属する.
胞子を作る部分が網状になっていて,姿はちょっと不気味だが可愛い.
キモカワイイ系キノコである.
師匠の書かれた, 「北陸のきのこ図鑑」296ページには,
アミガサタケ(編笠茸)春,疎林や草原,畑地,路傍,樹木を掘起こした跡地などに散生,群生.
可食,生食禁止.
ヨーロッパでは,アミガサタケをモリーユといって,非常に高級なキノコとされている.
(日本の物と同じ種類かは判らないが)
バターを使った料理やスープに良く合うきのこです ,とのこと.
うーん,たべてみようかなー?
投稿者 赤石大輔 : 11:28
2007年02月06日
冬のキノコ
最近,ご近所の方々に,キノコの同定依頼が来るようになった.
この時期,たいていヒラタケ Pleurotus ostreatus (Jacq.:Fr.) Kummer
か,エノキタケ Flammulina velutipes (Curt.:Fr.) Sing.
のどちらかなのだが,小泊のヒトはあまり食べる習慣がないようだ.
現在の所ヒラタケ2件,エノキタケ2件.
たとえば,ヒラタケの別名はカンタケ(寒茸),エノキタケはユキノシタと呼ぶ土地もあるが,師匠の図鑑「北陸のきのこ図鑑」の方言対照索引によれば,珠洲ではヒラタケもエノキタケも「モタセ」ですまされている.モタセは木材から発生するキノコ(たとえばナラタケなど)のことを呼ぶことから,木から出てれば何でもモタセなわけだ.
エノキタケは菌床栽培のものが多く出回っているため,本来の姿を見て驚く人も多い.
写真は,ムクゲの木から発生したエノキタケ.
ものすごい数の傘で,ほんとにエノキタケかなと不安に思った.
去年までは花を咲かせていたらしいが,残念ながら枯れてしまうだろう.
角間でも昨月大きなヒラタケを採った.
今年はヒラタケやエノキタケに出会う機会が多い.
暖冬で,外を歩く機会が多くなったからだろうか?
投稿者 赤石大輔 : 18:53
2006年10月16日
コムラサキシメジ
コムラサキシメジ Lepista sordida (Schum.:Fr.) Sing.
角間の里の前には,小さな畑があり,年中いろいろな野菜を作っている.
野菜を作れば,葉や茎などいらない部分がたくさんできる.それを積んでおく木の枠が
畑の横に置いてある.それを後で肥料にしたりするのだろうか?
今はとりあえずゴミだめ,と言った感じだ.
先日は,ゴミとして捨てたサツマイモから芽が出て,ゴミだめの中で大きな芋を作っていたそうだ.
そして,このコムラサキシメジも,そのゴミだめから発生していた.
ホクリクのキノコ図鑑には,
夏から秋,腐植質多い畑地,路傍,イネ科植物体の体積城などに群生,束生.
とある.
写真図鑑よりも色が濃く,同種かどうか迷ったが,食べてみることに決定.
里山メイトの方が,おみそ汁にして下さった.
初めてとって食べる野生のキノコは,やはりちょっと不安だ.
おそるおそる食べると,シメジのような食感.
とてもおいしかった.
たまたま角間の里に来ていた大学生にも振る舞ったが,やはり紫色したキノコが食べられることに
驚いていた.
畑のゴミだめから発生するコムラサキシメジは,まさに里山のキノコといってもいいだろう.
投稿者 赤石大輔 : 12:12