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2009年04月28日

サントリー世界愛鳥基金

4月16日

今年度から、里山里海自然学校は能登でサギ類の調査を行うことになりました。将来のトキコウノトリが舞う能登の里山を目指して、その基礎資料としてサギ類の生態を調べます。

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私たちが行うサギ類の調査に、サントリー世界愛鳥基金から100万円の活動助成をいただくことになりました。サントリーさま、有難うございます。プレミアムモルツ大好きです。

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その、サントリー世界愛鳥基金の活動助成金贈呈式が東京・丸の内の銀行倶楽部にて行われました。丸の内といえば、自然学校の活動助成をしていただいている三井物産さまの本社があるところです。この日は、時間が無くてどうしても伺えませんでしたので、「いつもお世話になっております。」とビルに向かって御礼。また今度ご挨拶に伺いたいと思います。

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銀行倶楽部はとても格調ある古い建物でした。贈呈式では、山階鳥類研究所はじめ、全国の野鳥保護に尽力されている団体の皆様とご挨拶し、私たちの研究紹介もさせていただきました。

当日の様子はこちら →  サントリー記事

三井物産、そしてサントリーと企業の支援を受けて、大学が地域と共に里山里海の保全研究を行えるというのは、とてもありがたいことと感じています。世の中変わったねと。だからその分、研究者の社会における役割も変えていくことが必要だと考えています。これからも精進していきたいと思います。

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さて、東京から戻ってスーパーで食材を買ってレジに並んでいると、目に飛び込んできたのは、このポスター。
ほー、アサヒも、CSRでしぜんほごかー、えー里山里海ー、どこのだよ?
・・・石川の、あれこれ千枚田じゃね?やべ、全然知らなかったよ。どうしよ。

アサヒさま、うちの看板、「能登半島里山里海」です(バンバン)!近いうちにご挨拶に伺いたいと思います。スーパードライ大好きです。

アサヒビールの記事はこちら →  うまい!を明日へ!

投稿者 赤石大輔 : 19:26

2008年12月04日

東京出張2

11月27日は,農水省のシンポジウム「農業に有用な生物多様性の指標開発」
に参加してきました.
場所は農水省本庁で,このたび霞ヶ関に初めて行ってまいりました.
ちなみに私は,「霞ヶ関」と「霞ヶ浦」を勘違いしており,「お役人さんはみんな茨城県でお仕事をしているのだ」と思っていた時期があります.中学生の頃です.

さて,今回のシンポジウムは,「農業に有用な生物多様性の指標開発」という大変魅力的なタイトルです.
農地が食物の生産現場であり,同時に生物の生息地として機能するような,理想的な環境を,誰もが夢見るわけですが,現実には非常に難しいというのが現状です.

農水省は,農水省生物多様性戦略という物を立ち上げています.
詳しくはこちら →  農水省生物多様性戦略

その中に,農林水産業の生物多様性指標の開発という項目があり,
「農林水産業の生物多様性への正負の影響を把握するための科学的根拠に基づく指標や農林水産関連施策を効果的に推進するための生物多様性指標の開発の検討」とあります.

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今回紹介されていた多くの研究では,functional biodiversity「機能的生物多様性」という言葉を使い,農地で有用な,特に害虫防除のための「天敵」となる生物種の選定に集中していました.
特に興味を持ったのは,宮崎大学農学部の取り組みで,地域の農家さんと協力して天敵の有効利用を行い,果樹や野菜の無農薬栽培をされていて,独自のシールを貼った付加価値の高い農作物作りをされています.これが人気を博しているとのことで大変勉強になりました.

参考 →  天敵活用で“自然の知恵”を生かす

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私は「生物多様性指標」ということばのイメージを,ある生物が農地に存在することで,潜在的にこれだけの生物多様性が維持されている.というわかりやすい指標が示される物と考えていましたが,今回は,害虫でもない,天敵でもない生き物「ただの虫」についての話は少なかったように思います.

参加者の中には,私と同じ意見の方もいたようで,「かつては農民が,田んぼや畑で生き物と共にあった.それをふたたび取り戻すような研究が進められることを望む」という意味の意見を述べられていました.

主催者側も,この取り組みは始まったばかりで,今回紹介する事例はごく一部であるとのことを説明されていました.来年,そしてCoP10が開催される再来年までに,さらなる発展があることと期待しています.

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投稿者 赤石大輔 : 23:21

2008年12月01日

東京出張1

11月26-29日

シンポジウム,交流会等で,東京に行ってきました.
日程は以下の通りです.

11月26日 ~企業が語るいきものがたりPart2~
場所:中央大学駿河台記念館 281号室(千代田区神田駿河台3-11-5)

11月27日
農水省シンポジウム「農業に有用な生物多様性の指標開発」
場所:農水省本省講堂(本館7階)

11月28日
三井物産環境基金 採択団体交流会
場所:三井物産本社

能登空港から飛び立った飛行機から,自然学校が見えました.
いつもいる場所を上から見るというのは何とも不思議な感じですね.
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今回は,26日のシンポジウムについて報告します.
企業の生物多様性保全に関するシンポジウムで,特に自治体と企業の連携による生物多様性保全の取り組みを聞いてきました.

第3次生物多様性国家戦略には,「生物多様性から見た国土の望ましい姿のイメージを、過去100 年の間に破壊してきた国土の生態系を100年をかけて回復する」という計画と,それを達成するため「企業の参加」の必要性が明記されています.

日本国土の望ましい姿,それは里山里海が今後も持続的に利用されていく姿だと私は信じています.それでは企業が里山を守るには,どんな方法があるのか?
その答えを探して本シンポジウムに参加しました.

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シンポジウムには,たくさんの企業,自治体,NPOが参加していて,様々なテーマで議論がなされました.里山の保全についてもいくつかの自治体や企業から具体的な事例発表があり参考になりました.

印象的だったのは,企業側からのコメントで,
「生物多様性をもっとわかりやすく」という事がありました.
企業としては事業を行う中で,何をやればどれだけの効果が上がるのか?とうことと,目に見えて業績が上がっていなければならないことが非常に需要です.企業としてこれは当然ことだと思います.
世界の希少生物,象徴的な生物を保全する事は企業にとってもわかりやすいようで,多くの企業がとりくんでいますが,それは「生物多様性」の中のほんの一部でしかありません.

生物多様性が人類にとって今後も持続的に繁栄していくために重要であることは明らかですが,短期的な影響や保全の成果,評価が非常に難しいものです.
特に里山は,市場原理から取り残された物ですが,利益の見えない物を企業活動の中にどう組み込んでいくのか?社員のボランティアや,社員研修の場として利用する.という取り組みが,現在では一番多いようです.

もう一つ,印象的だった言葉は,企業にとってどういうメリットがあるか説明できないと,「社内での了解が取れない」と言うことでした.しかしこれは「社内に生物多様性を理解する人間がいない」かぎり,クリアできない問題です.

COP10に向けて,全国で生物多様性保全の取り組みが進んでいますが,私たちも奥能登の里山里海保全を,企業と上手く連携していく手段を開発していきたいと考えています.
生物多様性の重要性をどう「見える化」するか,そして共感してもらえるかが大きな鍵だと思いました.

投稿者 赤石大輔 : 18:03

2008年11月10日

小学生の研究発表

10月28日

珠洲市立西部小学校の教育研究会に参加しました.
西部小学校の校区はアサギマダラがたくさん飛来する場所です.
そこで生徒さんに,今年の春からアサギマダラの調査で協力をしてもらいました.

春に海岸に飛来する蝶の数を調べたり,卵を集めて幼虫の観察や,羽化した蝶をまた放したりと,一年通してアサギマダラの勉強をしてくれました.
今回は,これまでのアサギマダラの調査についてのまとめ発表があり,それを見させてもらいました.
写真は,その発表用ポスターに書かれていた私の似顔絵です.
結構似てると思いませんか?書いてくれた子達,ありがとう!

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来年は,小学校全体の取り組みになったらいいと思っています.
アサギマダラは大移動するといった生き物の不思議な生態を知るばかりでなく,自分たちが住んでいる海岸に目を向けるきっかけにもなります.珠洲の多くの子供達に,珠洲の自然を知ってもらう良い教材だと思っています.

西部小学校の校長先生はじめ多くの方々にご協力いただきました.
有難うございました.

投稿者 赤石大輔 : 20:38

2008年10月03日

2008年マツタケの発生予測

9月30日の北国新聞一面に、珠洲のマツタケ初お目見えと大きく記事が載っていました。
発生開始時期は、例年並みだそうです。

記事詳細はこちら → 北国新聞

9月は20日を過ぎた頃から、ぐっと涼しくなり、最近など夜は寒いほどです。
マツタケは秋が涼しい方が豊作になり、暑さがぶり返すと収量が落ちると言われています。そのメカニズムを紹介しながら、今年のマツタケの発生量を予測したいとおもいます。いや、占う、程度かな?

マツタケの子実体(きのこの部分)が発生するためのきっかけは、地温が19℃以下になることだと言われています。19℃以下になると、マツタケのきのこを作るスイッチが入り、子実体原基(きのこの赤ちゃん)が作られます。
残暑が厳しいと、いつまでも子実体原基が形成されず、きのこができません。また、一度低温になり子実体原基が作られても、暑さがぶり返すと原基がだめになってしまい、そこからはきのこが出なくなります。
マツタケが秋のキノコで、発生のきっかけが地温であることから、近年の温暖化が発生量に大きく影響すると考えられています。

今年は調査の一環で、調査地の地温を計測しています。9月の地温の変化を見てみましょう。

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図は、平均気温(黄色)、最低地温(ピンク)、最高地温(青)、降水量(青バー)を示してあります。
気温は、20日以降ぐっと下がり、20℃以下になりました。地温もそれを追いかけるように下がり、27日に19℃以下になりました。

子実体原基が形成されてから7-10日でキノコが地上に現れると言われています。
順調にいけば、10月4日頃には発生するかもしれません。

さて、マツタケをはじめキノコ類の子実体は90%が水で出来ています。ですから子実体を形成して地上部に出るときに十分な水が必要で、水が少ないとキノコの数が少なかったり、一本が細くなることがあります。今年の降水量を見てみましょう。

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図は、1999-2008年の9月の降水量(青バー)と、マツタケ発生量(ピンク)を示しています。
ここ10年間、100ミリ以下の年は、昨年と今年だけです。
他の年は150mm以上の年が多くなっていますが、今年9月の降水量は45mmでした。
マツタケの発生量は、2005年まで、なんとか1トン以上ありましたが、2006年からは非常に少なくなっています。昨年は戦後最悪なんて言われましたが、今年は降水量に限っては昨年よりも悪くなっています。

このまま雨が降らないと、今年も豊作というのは難しいかもしれません。
ただ、どんな専門家もマツタケの発生予測は当たった試しがないようで、私のはじめての予測もアテにならないと思っています。

投稿者 赤石大輔 : 20:12

2008年10月01日

シンポジウム参加

9月20日

京都大学にて、シンポジウム「マツタケがつなぐ世界」に参加してきました。
主催は京都大学マツタケ研究会、共催は京都学園大学マツタケ研究会・まつたけ十字軍運動・京都大学こころの未来研究センターです。

シンポジウムの詳細はこちら →  シンポジウムのお知らせ

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マツタケ十字軍の吉村文彦先生は、以前珠洲で開催した きのこフォーラムの基調講演を頂いたかたです。吉村先生はすでに10年以上珠洲のマツタケ山再生のアドバイスをされています。京都でもマツタケの再生運動広げられていて、昨年はマツタケ十字軍が整備している山からマツタケを発生させることに成功しています。

今回京都でこのような集まりが出来たのは、吉村文彦先生が長年マツタケの研究や増産にご尽力されてきたことが大きいと思いますが、京都は「丹波松茸」という日本一の松茸ブランドを持っていて、松茸には特別の思い入れがあるのだと思います。珠洲産のマツタケも、色が白く香りが強いということで珍重されていますが、やはり京都のマツタケということで魅力があるのでしょうね。

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シンポジウムでは、吉村先生はじめ様々な方々からマツタケに関するお話を聞くことが出来て大変勉強になりました。
私からは、珠洲でのマツタケ山再生事業の取り組みと、猛禽類やトキ・コウノトリが営巣のために赤松が必要なことなど、マツタケを含んだ生物多様性の保全という切り口で、マツタケ山を紹介したところ、新しい視野であるということで、好評を頂きました。
今年もそろそろ各地でマツタケの初出荷のニュースが聞こえてきました。
次回は、今年のマツタケの発生量予測をしてみたいと思います。

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投稿者 赤石大輔 : 11:26

2008年09月17日

秋のキノコスタート

9月16日

春蘭の里で、思いの外キノコがたくさん採れたので、これは珠洲でも?
と思い、早速調査に出ました。

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ありました!
珠洲市が整備をしているアカマツの整備林一面に、ズベタケ(ヌメリササタケ Cortinarius pseudosalor)が出ていました。

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道の駅などでも販売されているキノコで、1パック1000円はこのキノコでした。
キノコ狩り(いやいや調査でした)の結果、かなりの数が集まりました。だいたい3000円くらいかな?まさにエコシステムサービス、里山からもらえる恩恵です。

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地権者の方にご報告したところ、全部持って帰って良いとおっしゃっていただきました。
今実家から両親と親戚が能登に来ていますので、お汁にしてみんなで食べました。
みんな初めて食べましたが、おかわりもしてくれました。美味しかったです。

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アカマツ林の保全作業は、地掻きというしんどい作業があります。
このように美味しいキノコがたくさん出て、近い将来マツタケも発生するようになれば、そのような作業費もまかなえる様になります。キノコ狩りツアーなど、観光の目玉としても発展させることも可能だと考えています。

しかし、そのためには地道な整備と丹念な調査が必要です。
地権者の方のご理解と、様々なサポートなしでは非常に困難な取り組みなのです。

投稿者 赤石大輔 : 10:08

2008年08月20日

夏のアサギマダラ

8月9日

アサギマダラの調査は5,6月に百万石蝶談会の松井氏、里山里海メイト、みさき小学校、西部小学校と協働で
「アサギマダラ調査隊」
を結成し、600個体以上のマークを行いました。
春の海岸での調査は終わりましたが、夏は山でアサギマダラを見ることが出来ます。かつては秋に高い山で見られるチョウとして知られていたほどで、海岸沿いのスナビキソウを利用しているという生態がわかったのは近年になってからです。

アサギマダラの習性で、涼しいところを探して移動するので、気温のより低い北へ、または標高の高いところへ移動します。
能登まできた個体は、これ以上北へ行くには海を渡らなくてはいけません。もしかしたら海を渡るのをいやがって、山で休んでいるのかもしれません。山に生えているオオカモメヅルという植物は幼虫の食草で、この時期は珠洲で羽化した新成虫を見ることが出来ます。

珠洲では、山伏山(150m)や宝立山(460m)の山頂付近で見ることができ、山伏山の山頂にある神社の前を、アサギマダラがひらひらと飛び回る姿はとても神秘的です。昨年は琵琶湖から飛来したマーク個体を山伏山で確認することができました。夏のアサギもとても面白いです。

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夏休みなので、数人の小学生が自由研究のテーマで夏のアサギマダラの調査をしています。今回はその小学生とお父さんと一緒に宝立山でアサギマダラの調査を行いました。
(宝立山は昨年の地震で道路が崩れたり、新たに建設が進む風力発電施設の工事で大型のトラックが行き来していますので、調査の際は十分気を付けて山に登ってください。)

小屋ダム付近の林道沿いに、ヒヨドリバナが咲いており、そこにアサギマダラを見ることが出来ました。羽化したてと思われる美しい羽の個体や、ぼろぼろの羽になった個体など様々でした。8/9 ほうりゅう DAS1とマークし、放蝶しました。

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夏のアサギマダラが大好きなヒヨドリバナやフジバカマはキク科の里山の花です。
特にフジバカマは、秋の七草として知られていますが、近年その生息範囲が狭くなっており、絶滅が危惧される種となってしまいました。
里山の荒廃が、海の向こうからやってくるアサギマダラの生活に間接的に影響しているといえます。

秋の七草は以下の通り( ウィキペディア参照
萩(はぎ)、尾花(おばな:すすき)、葛(くず)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)

帰り道、飯田にできた素敵な珈琲屋さんによってコーヒーを頂きました。
以前は木ノ浦に焙煎所があり、そこでおマメを買っていましたが、飯田にお店が出来たのでとても喜んでいます(まだマメ買ってないけど)。
コーヒーで調査の疲れを癒し、能登学舎に帰りました。

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投稿者 赤石大輔 : 18:55

2008年06月29日

健康診断調査報告会

6月28日
「里山里海健康診断調査」の調査報告会がありました。

里山里海自然学校がこれまで奥能登各地で実施してきた、「里山里海健康診断調査」のこれまでの成果を報告し、近く中間報告書を出版する計画です。
今回は、それぞれの研究者が行ってきた調査の報告と、報告書の編纂について、今後の調査計画について議論を行いました。
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報告会のプログラムは以下の通りです。

中村浩二教授:「奥能登の健康診断とは」
赤石大輔:奥能登地域の水生動物の多様性と生息環境について
高木政喜氏:金蔵の維管束植物インベントリー調査~能登半島の植生景観の要素の一つとして~
石原一彦氏:奥能登地方の両生類調査
井下田寛氏,木村一也氏:能登半島の鳥類相(2007~2008)
赤石大輔:奥能登地域におけるキノコ類の多様性とマツタケ山の再生状況
大宮正太郎氏:奥能登地域におけるゴミムシ類の多様性
石田幸恵氏:能登半島の溜め池の水質多様性とその決定要因

「水質の変化」という生態系の基礎となる部分から生態系の高次に位置する「鳥類の調査」まで、多岐にわたる分野について専門家が地元の方々と協働で行った調査から、能登の生物多様性の現状、里山の現状が少しずつ明らかになってきました。

キノコについては私から報告させていただきました。
内容をここで少し紹介します。
実は、1970年代に私の師匠である「石川きのこ会」の池田良幸先生が珠洲市各地の森林でキノコの調査をされています。
これは全くの偶然でしたが、よく考えればマツタケはじめキノコの宝庫である珠洲市で30年前に池田先生が調査をしていたことも、30年後に里山里海自然学校が珠洲に出来て私がキノコの調査を始めたことも必然といるかもしれません。なにしろ私にとっては幸運なことでした。

30年前の詳細なキノコ相のデータを、2007年の私のデータと比較すると、30年前にたくさんあったキノコが無くなっていたり、逆に少なかったキノコが増えていたりということが見えてきました。これは里山や森林の状態が30年間で大きく変化していると言うことを示唆しています。

各報告の後の総合討論では、調査にご協力いただいた地元の方々から、感想やコメントを頂きました。
「自分たちの住んでいる里山の生き物の様子がわかって良かった。これを今後は地域振興に生かせるよう、お互い努力していきたい。」というお言葉を頂きました。
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この健康診断調査を実施して、明らかになったことから地域へどのような貢献が出来るのか?
地域の自然を生かした観光や産業に結びつけるような取り組みとは?
また、生物多様性をキーワードにした奥能登の振興とは?
自然学校の取り組むべき次の課題が見えたように思います。

閉会後も、スタッフで今後の調査計画について議論しました。金沢大学内外の研究者はじめ、石川県や国連大学のオペレーティングユニットとの連携もすすんでおり、里山里海健康診断調査をさらに高度なものにステップアップさせていきます。

里山里海健康診断調査の報告書は8月完成を予定しています。

投稿者 赤石大輔 : 12:48

2008年05月07日

気球上がる

5月7日

連休明けの水曜日.珠洲はとても良い天気でした.
さてこれは何でしょう.

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答えは気球でした.これは大気観測をするための気球です.
長さ4m,最大直径2.4mで中には12立方メートルのヘリウムガスが入っています.

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この気球を珠洲の上空800mまで上げて,大気に含まれる黄砂や大気汚染物質を採集します.
上空へ上げるのに1時間,大気採集を1時間,地上までおろすのに1時間です.
これを朝昼晩と何度か続けて,大気の状態などを調べるそうです.

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こちらは3階に入ったクリーンベンチ(無菌実験台)です.実験準備をされているのは,金沢大学工学部の小林史尚先生です.小林先生は大気に含まれるバイオエアロゾル(花粉,微生物,ウィルスなど生物粒子)を調べる研究をされています.気球に設置するサンプラーを滅菌しているところです.
(個人的にクリーンベンチが自然学校で利用できるようになり,キノコの培養実験が出来るようになってとても喜んでいます).

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気球が無事上がり,一安心といった様子の研究代表者の岩坂泰信特任教授と松木篤特任助教
大気観測チームは今後たびたび珠洲でこのようなサンプリングを続けます.
研究成果が上がってきたら能登で発表会を開いたり,市民の皆さんと勉強会を催したりする予定です.
将来は日本海を取り囲む各国と共同で能登に研究拠点(スーパーサイト)を設立する予定です.

今日は少し風があるので上空250mまで上げて様子を見るそうです.
明日,明後日と天気が良ければ採集を続けます.

投稿者 赤石大輔 : 16:52

2008年04月03日

手引き「キノコ山の作り方」完成!

地域総合整備財団より平成19年度「大学と連携した地域づくり」助成事業の一環で行いました,奥能登のキノコ資源調査の成果をまとめた冊子が完成しました.

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昨年, 奥能登各地の里山林で行った調査マツタケ山の再生事業の評価新たなキノコ資源の探索など,様々な調査を行ってきました.
そして,地域の方々とキノコを通じて,奥能登の里山についてもう一度考えてみようと言う企画で, すず再発見フォーラム「よみがえれキノコ山」 を開催させていただきました.

今回完成した手引きは,それらの成果をまとめたものです.
のとの里山再生てびき1「キノコ山の作り方〜キノコから里山の再生を目指して〜」
というタイトルで,作らせていただきました.

内容について,まず1章では「里山」について紹介しています.かつて能登の里山には朱鷺も生息するすばらしい環境であったといわれています.その里山が現在どうなってしまっているのか?今後どうしていくべきなのかというお話です.
2章では,「マツタケ山」がどのようにして生まれたか,どのようにすれば再生できるかというお話です.
3章はマツタケ以外の里山に生きる様々なキノコについて紹介しています.
4章では,自然学校の取り組みを紹介して,能登の里山を保全していきましょうと呼びかけています.

これを読めばマツタケがたくさん作れる!といった魔法の書では決してありませんが,地域の里山がとても素晴らしいものだ,と気づいていただければと思います.

この資料は,1000部印刷しました.珠洲市民の方々はじめ多くの方に読んでいただきたいものですので,もし興味のある方はご一報ください.

投稿者 赤石大輔 : 13:19

2008年03月12日

キノコ研修2

今回は,キノコの培養方法についてです.
キノコは菌類ですので,植物のように自分では栄養分を作ることが出来ません.
そのため,菌を培養するための培地を作り,その上で増殖させます.

培地には菌に必要な栄養素を加え,寒天で固めます.
腐生菌はジャガイモの煮汁で作った培地でも菌糸をのばすそうですが,
菌根菌はデンプンを分解できる能力がないので,グルコースを加えた培地
で育てます.今回教えていただいたのは,この菌根菌類が成長できる培地です.

菌が生えやすい培地を作るわけですから,必要のない菌,雑菌が入り込めば
その中でどんどん育ってしまい,目的のキノコが増殖できません.
なるべく雑菌が入り込まないように,滅菌とし無菌状態での作業が必要です.

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さて,培地を作ったらその上にきのこを載せて培養します.
今回は市販のきのこ「エノキタケ」,「マイタケ」,「シイタケ」,「エリンギ」,「ブナシメジ」を用いました.

キノコの表面は,すでに空気に触れて汚染されているので,裂いて内部のキノコ切片を取り出し,培地に載せます.
雑菌が入り込まないように,使うメス,ピンセットも毎回バーナーで焼いてアルコール消毒をした上で使用します.

さて,こちらが培養中のキノコです.
シャーレの上に載せたきのこの切片から,白い菌糸が伸びています.

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2週間程度で,結構菌糸が伸びてきますね.
こうしてみるとやっぱりキノコもカビの仲間だと言うことが理解できます.

一番大きなコロニー(菌糸の固まり)をつくったのは,エノキタケでした.
ブナシメジは次に大きく,毛羽立っています.シイタケ,エリンギも徐々に伸び始めましたが,マイタケはなかなか伸びてきません.

培地の栄養素や,室温などでキノコの生長度が違うのかもしれませんが,
種類によってこんなにも個性が出るんだなあと,感心しました.
エノキタケなどはうまくいけばシャーレの中できのこを作ることもあるようですので,もう少し観察を続けます.

(3月13-17日まで,生態学会参加のため福岡へ出張します.しばらく更新はありません).

投稿者 赤石大輔 : 13:10

2008年03月08日

キノコ研修

2月25日から29日

キノコの培養,接種,DNA分析の手法を学びに,

鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター

に伺いました.

受け入れてくださったのは,先日の キノコフォーラムでもお世話になった, 岩瀬剛二先生です.

菌類きのこ遺伝資源研究センターはすばらしいスタッフと研究環境です.
キノコのことを勉強したいと思っている学生さんにとっては,鳥取大学の農学部はとてもおすすめです!

キノコは,菌類でカビの仲間です.地上部に顔を出す「きのこ」の部分しか目に見えませんが,本体は地中や木材中に菌糸として広がっています.

キンコンキンとは,トンチンカンとかアンポンタンとかの仲間ではなく,「菌根菌」と書き,樹木の根とキノコの菌糸が絡み合った状態の物を言います.
キノコは木の根を通して木の作り出す養分をもらい,木はキノコの菌糸から水分や無機物をもらったりしています.また,菌糸を通して隣の木とつながっているなど,木と木のネットワークをキノコが作り出していると言われています.森林全体がキノコを通して一つになっているとも考えられます.

マツタケやアミタケ(シバタケ),シモコシなど能登でも採られているキノコの多くがアカマツと共生している菌根菌なのです.
菌根菌は木と共生しているため,木を腐らせるシイタケの様なキノコとは違って,栽培が難しいと言われています.
しかし,ショウロやアミタケなどは比較的容易に栽培できるとのことで,各地で栽培が試みられています.
今回は,その菌根菌の取り扱い方,目に見えない状態のキノコを取り扱う技術を学びに来たわけです.

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研修その1:菌根菌の観察です.
まずは菌根菌の採集,校庭に生えているアカマツから菌根菌を取り出します.
このように,どこにでも生えている植物にもキノコが共生しているのです.
私たちの身近に存在するキノコと樹木の共生関係ですが,目に見えないのでなかなか気づくことはありません.

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シャベルで掘り出した根を,顕微鏡で観察するとこのように見えます.
この黒い根には,菌糸がびっしりと張り付いています.

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さらにこれを50マイクロメータずつ輪切りにして,断面を見ると,このように見えます.菌糸が外側を多い,根の細胞の間にも菌糸が入り込んでいます.
書籍に載っている写真では,見たことがありますが実際自分で断面を切って観察することで,本当によく理解できるものです.

次回は,菌の培養について紹介します.

昨年の調査で,能登町で採集したコノミタケという,ホウキタケの仲間についての系統解析を,鳥取大学の学生と共同研究もしており,その経過報告も聞きました.
なかなかおもしろい結果で,これもまた近いうちにご報告できそうです.

投稿者 赤石大輔 : 10:53

2008年02月01日

キノコフォーラムやります!

2月10日(日)に,第2回 すず再発見フォーラム,「よみがえれキノコ山〜奥能登の里山再生考〜」
を開催いたします.

 第一回 すず再発見フォーラムは, 「キリコ祭りを,知る」を開催いたしました.珠洲の祭り文化を保存する目的で,石川高専の学生さんが,一生懸命調査して,地域の方とキリコについて勉強しました.

 今回は、マツタケをはじめとした能登の里山のキノコに注目し,お二人の講演者から現在の里山のキノコの状況や先進技術を取り入れた増産手法について,さらに,キノコを利用した自然再生の紹介をしていただきます.また,自然学校が取り組んできた里山のキノコ調査の報告と,能登地域でキノコ狩りツアーやキノコ栽培の先進的な取り組みをされている方々をおよびして,今後の能登の里山再生・保全に向けた活動についての方向性を議論したいと思います.

今回は,私が初めて企画したフォーラムなので,いろいろと不安ですが,皆さんに楽しんでいただけるような工夫をいろいろと考えています.日程は以下の通りです.

日時:2008年2月10日(日)13:00~16:30
会場:ラポルトすず 大ホール. 【参加無料】

   -----プログラム-----
13:00 開会
13:10 基調講演1 「マツタケ山を作るには」
    吉村文彦 (「国際環境微生物応用研究機構」代表)
13:50 基調講演2 「菌根菌がつくる未来の地球環境」
    岩瀬剛二 (鳥取大学 教授)
14:30 調査報告 「奥能登のキノコの現状報告」
   赤石大輔 (能登半島 里山里海自然学校研究員)
15:15 討論:「能登で起こす!キノコ産業の可能性」
16:20 総括:「キノコから能登の再生を目指して」
16:30 閉会
       -----------------
司会: 平見夕紀 (フリーアナウンサー)

主催:金沢大学「能登半島 里山里海自然学校」
後援: 三井物産環境基金 地域総合整備財団(ふるさと財団)

1年と数ヶ月かかって,ようやく私の自然学校での「研究」成果を発表できるところまでやってきたと実感しています.まだまだその第一歩ですが,地域の皆さんに参加していただき,楽しい会にしたいと思っています.
よろしくお願いいたします.

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投稿者 赤石大輔 : 10:08

2008年01月18日

国際研究交流シンポジウム

1月15日

里山里海自然学校にて,
「東アジア若手研究者による環境研究シンポジウム」
が開催されました.
ロシア、中国、韓国の若手研究者を交え,環日本海域のさまざまな環境や環境の保全・創造をテーマに学術交流シンポジウムを開催することになりました.
開会には,珠洲市長にお越し頂き,ご挨拶いただきました.

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参加機関を一覧してみると,
日 本:金沢大学
中 国:中国科学院大気物理研究所,中国環境科学院,河北省気象局
韓 国:釜慶大学校,忠北大学校,釜山大学校,ソウル大学校,漢陽大学校
ロシア:Russian Academy of Sciences
と,日本海を取り巻く各国の研究者が珠洲に集いました.
これは本当に画期的なことと思います!

2日間の日程で,
1日目「能登半島 里山里海自然学校」
2日目金沢大学自然科学研究棟G15
発表内容が1日目:能登セッション・テーマ「生態環境」,
2日目:金沢セッション・テーマ「大気環境」
となっています.

現在,中国は急速な経済発展を遂げ,世界の工場と呼ばれるほど,世界中の企業が中国内に工場を建て,様々な製品を生産をしています.
それに伴い,大量の大気汚染物質が放出され,日本にまで届いています.
また,拡大した農地が疲弊して砂漠化が進み,黄砂がかつて無いほど飛んできています.
そういった急速な大気汚染の問題を,いち早く正確に観測出来る場所が「能登」であるということで,各国の大気汚染研究チームが,スクラムを組んで能登でモニタリング調査を開始するという計画が進んでいます.

同時に,里山の研究もスタートする予定です.
里山は何も日本に限ったものではありません.よく似た気候を持ち,稲作という共通の農耕文化を持つ国々にとって,里山は生物多様性の観点で最も重要な拠点であることに違いはありません.
ですから,今回のシンポのテーマが,生態環境と大気汚染となったわけです.

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珠洲をはじめ能登の各地は古くから大陸側の諸地域と交流があった地域でもあり,今また,ここに若い世代の研究者が集い国際学術シンポジウムを開催することは,まさに「奥能登ルネッサンス」といった感じでしょうか?

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写真にありますように「奥能登スーパーサイト」という研究拠点を作りたいと考えています.
近い将来,この奥能登が,最先端の国際的な研究拠点となるべく,努力していこうと思います.

投稿者 赤石大輔 : 17:41

2007年10月27日

マツタケ発見

10月24日

珠洲市は昔からマツタケの名産地として有名で,現在も生産量は減少してはいますが,まだまだマツタケが豊富に出る土地です.
珠洲市と珠洲市森林組合は,減少しつつあるマツタケの生産量を取り戻すため,マツタケ山の再生事業を10年ほど前から続けられています.

以前,なぜ珠洲にマツタケが?というテーマでこのブログにも紹介しているので,未読の方はこちらを参照してください →   能登でマツタケがとれていた理由

さて,自然学校は能登里山里海健康診断調査をスタートしていますが,その一環として,珠洲市のマツタケ山の調査も行っています.
これまで珠洲市が行ってきた整備事業について,いったいどれくらい効果が上がっているのか?
これまでそれを確かめる方法は,地権者の方に
「整備後,マツタケは出てきましたか?」
というアンケートを採るしかありませんでした.
ですから定量的な調査方法で正確にその評価をしてみよう,ということでこの調査をスタートさせました.

そして今回,調査中にそのマツタケの姿を確認することができたのです!!
きれいに整備されたアカマツ林の林床に,ぽこっと頭を出しているマツタケを2つ確認できました.私自身,実は野外で発生しているマツタケを見たのは初めてで,飛び上がって喜びました.
どうやらこれまで確認できていなかった,新しいシロからの発生であるらしいです.マツタケの整備事業が着実に成果を上げていることの証明といえるでしょう.

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この発見は,今日10月25日の北国新聞にも取り上げていただきました.
詳細はこちら →  web版北国新聞記事

このマツタケ整備事業に対して珠洲市は大きな予算を割いています.
珠洲市民の方々が事業の成果を感じることができなければ,この事業を継続することは難しくなります.
ここで,アカマツ林を整備する意義について少し考えたいと思います.
まず,マツタケをたくさん出るようにしたいというのが一番の理由ですが,
珠洲市内にアカマツ林が健全な状態にあるということ自体,実は非常に貴重なことだといえます.
70年代以降,日本全国で松枯れ病が蔓延して,広大なアカマツ林が失われました.
珠洲ではまだまだアカマツ林が残っていますが,それは日本では珍しい部類に入ります.

アカマツの林を保存していくことで,アカマツ自身やマツタケ以外にも,ハルゼミなどの生物を保存することにもなります.
さらには,日本では絶滅してしまった「朱鷺」も,巣作りのためにアカマツを利用していたらしく,もう一度能登へ朱鷺を呼び戻すためには,やはりアカマツ林が必要になってきます.
このように,アカマツ林を保全することは,マツタケの増産以外にもおおくの意味を持っており,
生物多様性の観点からも珠洲市の事業は高く評価されるべきと私は考えています.

今日ようやくまとまった雨が降って,マツタケもまた少し顔を出してくれるんではないでしょうか.
今月と来月は頻繁に山に足を運ぶことになりそうです.

投稿者 赤石大輔 : 17:13

2007年07月24日

釜山2

大分時間が経ってしまいましたが,アップします.

6月22日,釜山の干潟と湿原を視察しました.

洛東江(ナクドンガン)河口は,世界有数の干潟です.
そこには,クロツラヘラサギ,マナヅル,ワシタカ類などさまざまな野鳥が飛来します.
淡水と海水が混じり合う汽水域は,多様な魚類も生息しています.
干潟は水質の浄化を行ってくれる腎臓のような役割も持っています.

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かつては広大な干潟がありましたが,釜山は近年急速に都市化が進んで,
徐々に干潟が少なくなっています.

韓国政府は干潟の保全のため,この干潟を保全地区として定め,
釜山大学と共同で,エコロジーセンターという博物館を建てました.
(私たちがおじゃました釜山大学の研究室では,釜山の貴重な干潟や湿原の生物多様性保全のため,植物や魚類について研究がされています.)

訪れた日のつい2週間前にできた新しい施設で,
釜山の自然史について見てさわって学べる近代的な博物館といった
雰囲気でした.修学旅行の子供たちもたくさん来ていました.
韓国の環境教育はものすごいスピードで成長しています.

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次に,内陸のウッポ湿原を訪れました.
ここも,渡り鳥のたくさん飛来する場所で,保全地区となっています.
周辺は水田が広がる農村で,日本の里山と非常によく似た景観でした.
さらにアカマツ林が多く,マツタケの産地としても有名だそうです.
(パンフレットにもマツタケが紹介してありました,しかし挿入写真は
エリンギでしたが(^_^;)

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なんと,ウッポ湿原の近くに,廃校となった小学校を利用して,
湿原の保全を学ぶ施設がありました.
写真や農具漁具などが展示してあり,
かつての湿原での人々の暮らしや,生き物についての解説がたくさんありました.

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本当に,里山里海自然学校とよく似ています.
こちらの方が数年早くできましたが,コンセプトも全く同じと言っていいでしょう.

「おらとこの自然学校といっしょやがいね」

という気持ちになり,近い将来ここと姉妹提携を結ぼうと,
かってに心に決めてしまいました.

日本と韓国は,非常によく似た景観を持ち,現在全く同じ里山問題を抱えています.
両国,またアジアの国々が共同で里山問題を考える必要が出てきているのだと思います.
韓国の里山里海が破壊されていく中で,多くの国民が保全のために活動をはじめており,
次第にその動きは大きくなっています.
日本は環境教育でも一歩進んでいると,勝手に思っていましたが,
どうやら韓国から学ぶことがたくさんあるようです.

2008年10月には,韓国で第10回ラムサール締約国会議(COP10)が開催されます.

投稿者 赤石大輔 : 21:33

2007年07月12日

里山健康診断調査

7月6−9日は能登の里山健康診断調査ということで,
柳田村のキノコ山,金蔵のため池,珠洲の薪炭林,自然学校が創設した水田ビオトープ
の調査を行いました.
どの日も短冊に願ったとおりの快晴で,かといって暑すぎず,楽しく調査が出来ました.

6日
駐村研究員の 高市さん が中心になって保全活動をされているキノコ山での調査を行いました.
7年ほど前から荒れた里山林を整備されて,伐採した枝などをハタケシメジというキノコの菌床として利用されています.
天然キノコの多かった柳田の里山ですから,整備して再び有用なキノコが発生することを見込んでいます.
周辺には,整備年数の違う林があるので,経過年数とキノコ相の変化を見ることが出来ます.
今回は,20m方形区を設置して,定期的にキノコの調査を行う予定です.
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7−8日
輪島市町野町金蔵のため池の生物を調査しました.
7日夕方には,金蔵の住民の方々へ,昨年の調査結果をまとめた調査報告会をさせて頂きました.かつての金蔵は稲作をするために必要な水が不足していました.
そのため集落には大小様々なため池が作られました.
現在もその水を使って金蔵米という美味しいお米作りをされています.
自然学校では,金蔵の美しい里山の風景に,どれくらい生き物がいるのか,またどのような状態にあるのかを調査しています.昨年11月に調査を行いましたが,今回は夏の調査と言うことでもう一度ため池の調査を行いました.
サンショウウオやフナ,ヨシノボリ,ゲンゴロウ,ヤゴなど多数の生物が見られました.

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夕方からは,住民の皆さんに集まって頂き,調査報告会をしました.
数年前から,ウシガエルがいくつかのため池で見られるようになりました.
ウシガエルは他の在来の生物を捕食するため,多様性が減少すると考えられています.
報告会では,ウシガエルの存在を住民の皆さんに紹介したところ,何とかしたい,何とかならないか?という活発な議論になりました.今後,駆除の方法を提案していきたいと思います.
植物の調査でも,多数の絶滅危惧種が存在しており,金蔵の里山は大切な生物の生息地であることが判ってきました.

8日の夕方に,里山里海メイトの皆さんと作った小泊の水田ビオトープの調査を行いました.
3月に創設して,4ヶ月経っていないのに,すでにたくさんの生物が移入していました.
メダカが多数繁殖していたこと,サンショウウオの幼生が多数移入していたことは,隣接する
ため池とのつながりが要因と考えられます.
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クロゲンゴロウの成虫も確認されました.
そして,大型ゲンゴロウの幼虫も確認されました.
希少なゲンゴロウが作ったばかりのビオトープに入り,そこで繁殖していたことは,
やはり感激しました.
自分のやり方は間違ってなかったんだと安心もしました.
能登の里山はまだまだ元気です.
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7月9日
珠洲の薪炭林の経過を視察しました.

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案内して下さったのは駐村研究員でもある 大野製炭の大野さんです.
大野さんがこれまで炭作りのために切り出した薪炭林を見せて頂きました.
経過年数1年,3年,5年,8年,20年と,様々な状況を見させて頂きました.
3年目は林床を様々な植物が多い,5,8年目の林は,萌芽したコナラが大きくなって,
林に近づいています.20年目の場所は立派な林に戻っていました.
薪炭林の更新サイクルと,伐採後の植物多様性の増加を目の当たりにすることが出来ました.

以上,4日間の調査はとても忙しかったですが,充実していました.
調査に協力して頂いた方に,心より感謝致します.

9日夕方,調査を終えてご褒美に蛸島へ釣りに出かけました.
釣り道具は ひろ吉さんにお借りしました.
今は,小さな鯖が釣れるとのこと.
2時間程度でしたが,小さな鯖を4匹とベラをつり上げました(ほとんど友人が).
鯖は開いて唐揚げにして,南蛮漬けにして頂きました.
とても美味しかったです.

投稿者 赤石大輔 : 00:24

2007年07月04日

釜山1

6月20−24日

韓国,釜山大学校にシンポジウム参加のため行ってきました.

海外旅行は99年のインドネシアにいったきりで,ほぼ8年ぶりとなりました.
(パスポートの写真をみて,ずいぶん年をとったなあとちょっとショックでした.)

韓国は初めての訪問です.

6月20日
小松から仁川へ,
出発前,空港に着くとニンニクのにおいがするなんて言われましたが,
仁川国際空港に降りてみると,そんな事はありませんでした.
とても大きな近代的な空港でした.

仁川から釜山へ,これも飛行機で.
釜山に近づくと,飛行機の窓から大きな干潟が見えました.
ものすごく大きな,日本海の腎臓といえる重要な干潟です.
今回の訪問目的には,釜山にあるこの干潟と,渡り鳥の飛来地として世界的に有名な湿地の視察も含まれていました.
釜山大学はこの大きな干潟と湿地(1998年にラムサール条約に指定されました)
の保全に力を入れており,大きな成果を上げています.
湿原についてはまた後日.

牛浦沼湿原 牛浦=ウッポ

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釜山大学は山の上にある広大なキャンパスを持っています.
そこまではどこかの金沢大学に似ていますが,釜山大学は大学の外がすぐ
街になっており,たくさんのレストランやショップがあります.
学生たちがキャンパスライフを楽しく過ごす素晴らしい環境に思えました.

釜山大学のHP


シンポジウムは21日に釜山大学の講義室で開かれました.

1st Scientific symposium of ecological research groups of
Pusan National Unicersity & Kanazawa University.
と書いた大きなポスターが張ってあります.
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金沢大学生態学講座と釜山大学淡水生態研究室の合同ゼミといった雰囲気です.
お互いの研究を紹介し,今後の連携研究の道を探りました.
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私も,これまでの研究についてと,現在能登で行っている活動について
紹介させてもらいました.英語での発表は大変でしたが,
釜山の学生たちに,能登へ是非行ってみたいと言ってもらえたので
とてもうれしかったです.もしかしたら8月には何人かやってくるかもしれません.
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シンポジウムが終わったあとの懇親会でも,学生たちと長いこと話をしていました.お互いなれない英語での会話でしたが,なんとかコミュニケーションがとれ,とても楽しい夜を過ごせました.

近い将来,金沢大学と釜山大学が能登の里山里海で共同研究が出来ることを期待しています.


〜美味しかったもの1〜

韓国料理は辛い物が多いですが,釜山は海鮮の宝庫で,
ホントに美味しかったです.

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釜山に着いた最初の夜は,素敵なレストランで
カルビとチヂミをいただきました.
このチヂミがふわふわのとろとろで,今まで食べたどのチヂミとも
違う食感でとても美味しかったです.

投稿者 赤石大輔 : 22:56

2007年06月01日

春のしばたけ

6月1日

富山大の先生方2人と,金沢大の学生4人が調査に来られました.

富山大の方々は,珠洲と金蔵で,ため池の水質について調査をされました.
どうやら,かつて海の底だった場所と,島として残っていた部分で,
現在の水質が異なっているかもしれないということです.
アカマツが珠洲にたくさんある理由も,地質が影響しているということも考えられるそうです.勉強になりました.

三崎町の雁の池付近を調査中,アカマツの下に,アミタケ Suillus bovinus (L.:Fr.) O.Kuntze が!!

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石川県では,「しばたけ」と呼ばれ親しまれている秋の風物詩ともいえるキノコです.
それがこんな時期に発生するなんて?と思われる方も多いと思います.
しかし,キノコの中には適度な雨と気温になると,
春と秋の2回発生する種類も結構あります.

(地方によってはマツタケも春に出ることもあるらしいです.)

先日,科学雑誌「SCIENCE」に,これと関係した興味深いデータが載っていました.→ 論文の要約

この論文では,イギリスで1950年〜2005年までの52000個のキノコの発生パターンの傾向を調べました.
(それだけでもものすごいデータです!イギリスの生態学の歴史はすごい).

気候の変化で夏の終わりが暖かく,秋の雨が多くなってくると,
キノコも早くから遅くまで発生し続け,
その発生期間が1950年から2005年で2倍以上(33日から74日)になったそうです.
また,秋にしか見られなかったキノコが,気候の変化で1975年くらいから
春も発生するようになったという結果が示されました.

じゃあマツタケの場合はどうなんでしょうか?
発生期間が長くなれば,マツタケ狩りのシーズンがのびて喜ばしいことかもしれません.
しかし,残念ながらこの論文には針葉樹と関係のあるキノコは発生期間の変化は見られなかったとあります.
また,秋に暖かいと,マツタケがキノコを作る気をなくすことも知られています.
秋の気温が18度以下になると,マツタケはキノコを作る準備を始めるのですが,
再び気温が20度以上になったりすると,せっかく作ったキノコの赤ちゃん(子実体原基)がそれ以上大きくならないそうです.
だから,秋に暖かい日が続くと,その年はマツタケは不作ということになります.
温暖化はマツタケにも大きな影響を与えるんですね.

さて,今日は珍しくキノコの話と,ちょっとアカデミックな話ができました.
みなさん,私も一応博士です,忘れないで下さいね.

投稿者 赤石大輔 : 19:53

2007年04月21日

ホクリクサンショウウオの珠洲での成体初確認

4月20日

ホクリクサンショウウオの珠洲での成体初確認を,
自然学校の会議室にて 記者発表を行いました.

先日は,柳田方面でホクリクサンショウウオの調査をしましたが,
今回は北限となる珠洲市での初確認でしたので,マスコミ各社に公表させて頂きました.

全国でも貴重な里山の生き物たちが,奥能登にはまだまだたくさん残っているようです.
自然学校では,このような奥能登の素晴らしい自然環境を発見する
「里山里海健康度」調査というプロジェクトを推進しています.

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今後も奥能登の里山里海で様々な「発見」をしていき,
学会や論文,講演会を通じて多くの方と情報を「共有」し,
地域,また全国の方々と「保全」していきたいと思います.

投稿者 赤石大輔 : 16:04

2007年03月09日

サンショウウオ

3月5日
柳田周辺で,ホクリクサンショウウオの産卵状況調査.
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ホクリクサンショウウオ Hynobius takedaiは,能登半島と富山県の一部に分布する日本固有種で,
レッドデータブックの絶滅危惧IB類(EN)に指定されている希少生物である.

3月に入り,もう春かと思っていたら,この日は大荒れの天気,今年一番の積雪となった.

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サンショウウオは両生類で,水中に産卵する.特にホクリクサンショウウオは水田の水路などに産卵するため,
調査は水路に手を突っ込んで探す.次第に手の感覚が無くなってくる.
寒さのせいか,スギ花粉のせいか,鼻水も止まらない.とても,つらい調査になった.

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絶滅危惧種のホクリクサンショウウオであるが,環境の整った場所にはたくさんの卵が見つかった.
その環境とは,周囲を林で囲まれた谷筋の水田,そしてコンクリート三面バリではない土水路だ.
昔ながらの里山の風景が,ホクリクサンショウウオを支えている.
そんな里山の環境が,奥能登でもどんどん無くなってきている.
奥能登の里山環境を少しでも維持していく方策を考えて行かなくてはいけない.

投稿者 赤石大輔 : 13:26

2007年02月13日

マツタケ山視察

2月9日
京都の岩倉村松にて, マツタケ十字軍の活動視察.
岩倉は岩倉具視が幽棲していた場所で有名だが,
松茸の産地としても有名だったらしい.今でも発生している場所もあるという.

バス停より歩いて5分,団地のすぐ裏にマツタケ十字軍の活動拠点はあった.
ぱっと目に飛び込んでくる整備されたアカマツの小山.
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ここは,バブル期に宅地造成されたが,バブルがはじけて25年そのまま放置された
場所らしい.
造成のために表土は削られ,痩せた土地にアカマツ林が出来た.
2年前から整備が進められ,松枯れで倒れた木を下ろし,コナラなど広葉樹,
ササなどの下草も刈り払い,現在に至る.
整備されたアカマツ林はとても美しい.
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いつマツタケが拝めるかと聞くと,「早くて5年後,おそければ30年後」
と笑いながらみなさん答えられる.

マツタケは待つだけ(ダジャレです)ですか?
と気が遠くなってしいそうだが,いえいえ,こんなのもあります.

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小さなアカマツの苗は,マツタケの菌根をもつ苗だ.
マツタケシート(マツタケの菌糸がたくさんついた不織布)
にアカマツの根を包み,マツタケを感染させる.
この苗についた菌が,30−40年生のアカマツの根にも感染すれば,
マツタケの発生が見込める.

このように,林を整備して待つだけでなく,マツタケを導入しちゃおうというアクティブな
方法にも取り組まれている.

マツタケ十字軍の活動は毎週行われている.
活動拠点には,手作りの小屋,テーブル,椅子,かまど,ピザ釜がそろい,なんだか秘密基地みたいだ.
みんなで昼食を作り,食べる.燃料は切り出した木材.隣には畑もあり,宇治の方が作られた茶畑もある.今日は野菜たっぷりのおみそ汁,炊き込みご飯,釜で焼いたジャガイモ,お好み焼き,焼きそば,漬け物など,おなかいっぱい食べた.
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やはり,ただマツタケ山の整備をするだけでは,苦労が多く,
楽しみも少ないため継続は難しいだろう.
楽しみながらやる,十字軍のやり方は大変参考になった.

マツタケ十字軍のメンバーは200人以上,毎週の活動にも関わらず20−30人
の参加者がある.多くは京都,大阪の定年を迎えられた団塊世代の方々だ.
人口100万の都市,都市に住む団塊世代,近郊にある活動拠点.
京都は良い条件がそろっている.

かたや珠洲市は,人口1万9千人.
半島の先端で,金沢からも遠い.
自分の畑や山を持っている方もおおく,
何で人の山で整備なんか,という意見も多いだろう.

しかし,珠洲市のマツタケ生産量は年々減少し,特に昨年は大不作だった.
珠洲のマツタケ再生には,山の整備しかない.
過疎,高齢化が進む奥能登でも出来る里山の保全.
また奥能登でしか出来ない里山の保全を考える,大チャレンジのスタートだ.

投稿者 赤石大輔 : 15:12